相続時、土地や不動産は大きな相続財産とされており、あらかじめ分割方法を定めておかなければ、後に相続した兄弟間などで大きなトラブルを招きます。
今回は、兄弟・姉妹で土地を相続する際の注意点や対処方法について解説します。
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兄弟で土地を相続したときの主な流れ
兄弟で土地を相続したときの手続きの流れは以下です。
- 遺言書の確認
- 法定相続人の確定
- 相続財産の調査
- 遺産分割協議書の作成
- 必要書類の作成、取り寄せ
- 不動産相続登記
上記の中でも特に重要な以下の3つの手続きに関して詳しく解説していきます。
遺言書を確認する
相続が発生し最初に行うべきなのは、遺言書の確認です。被相続人が遺言書を残している場合は、遺言書の内容に従って相続手続きを進めます。
例えば、長女に財産を8割相続させるという記載があれば、慰留分を除き基本的にその内容に沿って相続を行います。
ただし、遺言書が自筆でない場合や日付が入っていない場合は遺言書が無効になるため注意が必要です。
ちなみに、遺言書がない場合には、遺産は相続人全員の共有資産になるので、遺産分割協議を行わなければなりません。
遺産分割協議を行う
被相続人が遺言書を残していない場合には、遺産分割協議を行う必要があります。相続人全員で遺産の分割方法について話し合う遺産分割協議を行わなければ、遺産を相続することができないためです。
仮に、相続人が1人いない状態で話し合いを行っても有効な話し合いとは見なされません。そのため、必ず相続全員が出席することが必要です。
なお、遺産分割協議を行って作成する書類のことを遺産分割協議書と言います。
この書類がなくても、法的には遺産を相続できます。しかし、遺産に土地が含まれるならば相続登記をするために遺産分割協議書が必要になります。また、相続後のトラブルを防ぐ役割も果たすので、遺産分割協議書は必ず作成するようにしましょう。
相続登記を行う
遺産分割協議をし、書類の準備もすべて整ったら、最後に行うのが相続した土地の登記です。登記を行わなければ名義が被相続人から変更されないため、トラブルを避けるためにも登記は必要です。
例えば、登記をしないことで、他の相続人に無断で土地を売却されるといったトラブルも考えられます。
こういった事態を防ぐためにも、土地を相続した際は法務局で相続登記を行うようにしてください。
土地相続における兄弟のトラブル事例を紹介
土地相続する際に兄弟でトラブルになることは少なくありません。土地の分割の仕方で揉めることが多いためです。
そこで、ここではよくあるトラブルの事例を3つ紹介します。
兄弟が親の土地に家を建てている場合の相続によるトラブル
親の土地に兄弟が二世帯住宅や自宅を建てて生活をしている際は、下記のようなトラブルが考えられます。
2人兄弟のAさんは実家を二世帯住宅にして、父親と同居していました。しかし、2カ月前に父が亡くなってしまったのです。
遺言書も無かったため、弟のBさんと遺産分割協議を行ったところ、「財産を平等に分けろ」と言われました。
Bさんの主張は、「家と土地の価値が4,000万円だから、2,000万円をもらう権利があるはずだ。兄さんが自宅を相続するなら2,000万円払ってくれ」というものでした。
Aさんは長男で同居もしていたのだから、当然自宅は自分のものになると思っていたため、反論しました。しかし、主張は法的にも正当なものであったため、Aさんは2,000万円を現金で支払うことになりました。
このように、親の土地に兄弟の家が建っている場合は、遺産相続でトラブルになる可能性が高いです。そのため、親の土地に家を建てる際にあらかじめ相続について話し合いを行うことが重要になります。
他の兄弟が土地を売りたくないと主張して起きるトラブル
他の兄弟が、先祖代々引き継いだ土地であるため売りたくないと主張した際は、以下のようなトラブルが考えられます。
3人兄弟のCさんは父親が亡くなり相続した土地を3人で平等に分けたほうが良いと考えていたため、弟のDさんとEさんに売却を提案しました。Dさんはそのほうが揉めないからと同意してくれたのですが、Eさんは先祖代々引き継いできた土地を売るのは良くないと主張してきたのです。
それなら、Eさんが土地を相続して代わりに現金をCさんとDさんに支払うように提案しましたが、払えるだけの資金はないと言われて、相続の手続きが進まなくなってしまいました。
最終的には、相続が進まないことから3人の共有名義にして、土地を残すことになったそうです。
このように相続人の意見が一人違うと相続の手続きが進まないため、相続の手続きが始まる前から話し合う機会を設けておくことが重要になります。
土地の評価に納得できないことで起きたトラブル
土地の評価額を正確に割り出さないと、以下のようなトラブルが考えられます。
2人兄弟のGさんは父親が亡くなり、遺産分割協議を兄のFさんと行いました。兄のFさんは親と同居していたため、そのまま自宅と土地を相続したいと主張してきました。そこで、Gさんは本来相続できる金額を支払ってもらえれば同意すると伝えて、お兄さんの相続に同意したのです。
後日、お兄さんから代償金として支払う金額が1,000万円と伝えられたのですが、明らかに安い金額だと感じたため、お兄さんに抗議したところ、「正しい評価額」だと言われてトラブルになってしまいました。
詳しく確認したところ、不動産会社による簡易鑑定しか行っていないことが分かり、正式な資格を持つ不動産鑑定士にお願いをして、再度評価額を出してもらいました。その結果、自宅の評価額は3,000万円となり、1,500万円を受け取ることができました。
このように、不動産を相続する際に土地や建物の評価額に納得できずに、トラブルになることは珍しくありません。そのため、あらかじめ評価方法について話し合いをしておくことがおすすめです。
スムーズな土地相続の分割方法
土地を兄弟で相続する際にトラブルになりにくい分割の方法について理解しておくと、スムーズに相続の手続きを行うことができます。ある程度公平に相続財産を分けられるため、不満が出にくいためです。
そこで、ここではスムーズな土地相続の方法について詳しく説明していきます。
換価分割
スムーズに土地を相続する方法として最もおすすめなのが、換価分割になります。換価分割は土地を現金化して相続人に分けるため、1円単位での相続が可能で公平性が高く不満も出にくいためです。
ただし、土地を現金化するまでに時間掛かることや、相続人全員の合意がないと現金化できないといったデメリットもあります。
ちなみに、不動産会社による直接買取りをしてもらうことで1〜2週間程度で現金化できるケースもあるため、土地を現金化するまで時間が掛かるといったデメリットを無くすことが可能です。
このため、すぐに現金化して相続手続きを終わらせたい人は、不動産会社に直接買取りをしてもらえないか、問い合わせるようにしてください。
代償分割
親の土地に兄弟が自宅を建てている場合に、有効な相続の方法は代償分割になります。この代償分割とは、一人の相続人が不動産を相続した場合、他の相続人に対して本来相続できるはずであった金額を現金で支払う方法です。
例えば、相続人が兄弟2人で相続した不動産の価値が4,500万円であった場合は、不動産を相続した人が相続していない人に2,250万円支払う形になります。
そのため、ある程度公平に遺産を分けることができるため、トラブルになりにくいです。
ただし、代償分割をするためには不動産を相続した相続人に代償金を支払うだけの資産を所有している必要があります。
また、不動産の評価方法についてあらかじめ合意をしていないとトラブルになるといった注意点も多いです。
分筆による現物分割
土地を相続分に切り分ける分筆をして、それぞれ現物の土地で相続する方法も、スムーズに土地を相続できる方法の1つです。土地を相続分で切り分けるため、ある程度公平に相続できるためです。
例えば、100坪の土地を兄弟2人で分筆した場合には、50坪ずつ相続できるため、住宅用の土地として活用できます。
また、弟が相続した土地を兄に売却するといった選択をとることも可能です。
ただし、分筆を行うには一定の広さの土地がないと意味がありません。狭い土地を分筆して切り分けたとしても活用方法がないため、逆に価値が落ちてしまいます。不動産取引のプロである不動産会社に相談しましょう。
不動産買取を利用するメリット・デメリット
不動産買取のメリット
(1)買い手を探す必要が無い
(2)仲介手数料が発生しない
(3)売却から現金化までが早い
(4)形がいびつな土地や、狭小地でも買取が可能
(5)室内の状況を気にせず売れる
(6)契約不適合責任(旧:瑕疵担保責任※)から解放される
(※)瑕疵担保責任とは、マンションや戸建て住宅などを売却した後、一定の期間に欠陥が見つかった場合、売った側が保証しなければならないという義務です。仲介の場合、売った個人が責任を取らなくてはなりませんが、買取であれば、不動産会社が買った時点で個人の瑕疵担保責任は消滅しますので、後になって責任追及される心配はありません。
不動産買取のデメリット
仲介で売却する場合に比べて安い価格(目安としては70~80%程度)になる可能性があります。
不動産を売却するならオープンハウスが買取ります
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