不動産の売買契約は、基本的に買主・売主・不動産仲介業者の3者が立ち会いのもとで行われます。皆が見守る中で、売買契約書に署名・捺印し、手付金の受け渡しを行います。
しかし、遠方の不動産を売却する場合には、現地の立ち会いが簡単にはできません。今回は、遠方の不動産を売却する際に押さえておきたいポイントを紹介します。
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遠方の不動産を売却方法は?売買契約や決済には立ち合うべきか
まずは、遠方の不動産を売却する方法と遠方だからこそ注意したい点について、「仲介業者選び」「売買契約」「引き渡し・決済」3つの段階で説明します。
依頼する不動産仲介業者を決める
遠方にあると、不動産仲介会社選びにも苦労します。ここで2つの大切なポイントを見ていきましょう。
1)地元事情を把握している不動産業者に依頼する
売却物件に近い地域の不動産業者は、その土地の事情をよく把握しています。そのため、不動産会社が適正な査定額をすばやく算出して、具体的な売却活動にも移りやすくなります。また地元ならではの商慣習を把握しているため、トラブルを防ぐこともできるかもしれません。
最近の不動産業者は主にインターネットで集客するため、必ずしも物件に近い不動産業者である必要がないという声もあります。しかし、物件からあまりに遠過ぎる場合には注意が必要でしょう。
2)特殊な不動産に精通している不動産業者に依頼する
地元事情に詳しい不動産業者でも、市街化調整区域内の土地や農地といった特殊な不動産を売却するのは難しいことがあります。
そのような不動産を売却する場合には、特殊な不動産に精通している不動産業者に相談するのも選択肢のひとつでしょう。
見知らぬ不動産業者の信頼度を調べる指標のひとつが「宅建業免許番号」です。
宅建業免許番号は「国土交通大臣免許(1)○○号」「東京都知事免許(5)××号」などと表示されます。ここで重要なのがカッコ内の数字です。カッコ内の数字は免許の更新回数で、5年に1回の免許更新を何回実施したかが示されています。
必ずしも宅建業免許番号が、会社の信頼度と比例するわけではありませんが、数字が大きければ長期間にわたり営業してきたということが分かります。
買主と不動産売買契約を交わす
売主と買主との物理的な距離が離れていても契約は可能です。
ここで、当事者間の距離が離れているケースにおける、主要な契約方法を3つ紹介します。
1.契約書の持ち回り契約
「持ち回り契約」とは、売主と買主が合わずに契約をする方法です。不動産業者が契約書を双方に持参することから「持ち回り」と呼ばれていますが、現在では契約書の原本を郵送する方法も持ち回り契約といいます。
契約は双方の合意があれば有効です。そのため、売主と買主が持ち回り契約に賛成すれば問題ありません。相手方が持ち回り契約に納得するのであれば、遠方まで出向くことなく売買契約が完了できます。
2.親族などを代理人とする契約
親戚や知人などに不動産売買契約の署名・捺印を代理で依頼する方法です。委任状があれば法律上は有効です。
ただし、代理で署名した人の行為に対する責任は、依頼した本人が負担しますので、依頼する人を慎重に選ぶ必要があります。また、委任状の記載内容によるトラブルや金銭によるトラブルが発生しやすいので、避けた方が無難です。
不動産売却を代理人に依頼する方法については、こちらで詳しく紹介しています。
「不動産売却を代理人に依頼する方法。手続きや委任状の書き方は?」
3.司法書士など専門家を代理人とする契約
司法書士は、法律に基づいて登記を行う専門職です。事務所によっては不動産売買をメーンで請負っていることもあります。不動産の契約から決済までの手続きに関して、代理人として司法書士に委任することができます。
物件の引き渡しと決済代金の授受
決済では「所有権移転と売買代金の授受を同時に行う」ことで、確実に不動産売買契約を完了させる必要があります。重要書類や金銭のやり取りを行うので、売主・買主は一堂に会して行うことが基本です。
もしも、決済の場に立ち会えない場合には、重要書類を司法書士や不動産業者に預けることになります。しかし、所有権移転登記が完了しないうちに代金を受け取ることや、代金を受け取らないうちに権利証等を手放すといった「万が一」の事態には対応できません。
国内ならば丸1日で移動できます。少なくとも数百万円が動くため、できるだけ時間や金銭を調整して、決済の場面には立ち会った方がいいでしょう。
遠方の不動産における相続登記
相続で不動産を取得した場合は、登記をしなければいけません。
相続人自らが遠方にある不動産の相続登記をする場合、不動産を管轄する法務局に登記申請をする必要があり、具体的な手続きは郵送かオンラインのどちらかで行うことになります。
ただ、登記申請に慣れていないと手続きが煩雑に感じることもあるでしょう。そんな場合は、司法書士に手続きを依頼することも選択肢のひとつです。この場合、現在は日本全国どこの不動産でもオンラインで登記できるため、わざわざ遠方の司法書士に依頼する必要はありません。近くの司法書士に相談しても同様の対応が可能です。
また、遠方の不動産を売却するときには「過去の登記忘れ」に注意が必要です。
不動産の登記には相続登記だけでなく、抵当権設定など様々な種類があります。そのため、相続が繰り返されるにつれ、誰も知らない登記が抹消されずに残っている、ということが起こりえます。
過去には、売却予定の土地に「100年前の先祖が借りた10円の債務者による抵当権設定登記」が残っていたというケースがありました。
抵当権を抹消するには、債務者および債権者の子孫で生存している人間をすべて探しだして、抵当権抹消に同意する必要があります。
しかし実務上、「抵当権設定から100年後に生存している債務者・債権者の子孫」すべてを探しだすのは不可能です。このケースでは、司法書士の職権で「子孫すべての同意は取れませんでした」という書類を作成し、登記申請を行うという方法で、契約から約半年かけて抵当権抹消登記を完了させています。
このように、遠方の不動産についている意外な登記のせいで売却に支障が出る可能性があります。遠方の不動産を所有することになった場合は、一度は登記簿謄本に目を通した方が良いでしょう。
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