売りにくいといわれる土地の代表例として「浸水しやすい」ことがあげられます。
今回は、浸水しやすい土地の特徴や、浸水しやすい土地の買取依頼で実際によくある相談についてご紹介します。
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水害が起こりやすい地域や場所の特徴とは
水害が起こりやすい地域や場所には、どのような特徴があるのでしょうか。水害は大雨によって川が氾濫することにより生じる外水氾濫だけでなく、低地部で生じる内水氾濫によるリスクもあるといわれています。
まずは、外水氾濫と内水氾濫が生じやすい地形の特徴を、5つにわけてみていきましょう。
特徴1.扇状地
扇状地とは、河川によって山から運ばれた砂礫(されき)が堆積した扇状の地形のことです。扇状地は山間部から川が流れてくる場所に形成されるため、大雨が降ると土石流の被害に遭うことがあります。したがって、土石流や大雨による水害の被害を最低限に留めるために、扇状地がある河川の上流には、砂防ダムが建設されます。
特徴2.自然堤防
自然堤防とは、河川の氾濫によって砂礫が河岸に堆積してできた、堤防状の微高地のことです。「自然にできた堤防」と聞くと、水害を防いでくれる、安全な場所というイメージをもつ人も多いでしょう。しかし、自然堤防は度重なる自然災害による氾濫が生じ、土砂が堆積したことによって形成されたもので、氾濫を押し留めるという役割はありません。むしろ、低い場所や薄い堆積物でできた自然堤防は、容易に決壊する弱さがあり、水害の危険性が高い地形とされています。
特徴3.旧河道
旧河道とは、その名のとおり昔は河だった地形のことです。旧河道は泥土が堆積して周囲より少し低い場所で湿地になっていることが多いため、「大雨が降って河川が氾濫したら、真っ先に浸水する、水害に弱い場所」とされています。旧河道の名残のある沼では人工的に埋め立てている場所も多く、このような場所は川底の砂に埋め立てた砂が加えられており、地形が液状化する危険性があるため、注意が必要です。
特徴4.三角州
三角州は、ギリシア文字のデルタ(Δ)に形状が似ていることから、デルタ地帯とも呼ばれており、主に河口付近で見られる地形です。河川から押し流れた土砂が河口付近に堆積してできた三角州の地形は、枝わかれした2本以上の河川(分流)と、海で囲まれた形状が三角形に近い形をしています。波や海流の弱い場所では、海側に大きく突き出した地帯を形成することもあり、洪水や高潮の被害を受けやすいため、堤防や防波堤に囲まれるようして利用される場合もあるようです。一度形成された三角州には、洪水が生じるたびに多量の土砂が上流から加わり、徐々に三角の幅を広げようとします。また、土砂の供給に対して海の波浪や海流は三角州を侵食する方向に働くため、三角州は陸と海のせめぎあいの場所に形成される点が特徴的です。
特徴5.後背低地
後背低地とは、後背湿地とも呼ばれており、自然堤防の背後にできた低湿な地形のことです。地理的な特徴から、想定以上の洪水が生じると、浸水の被害を受けやすい傾向にあります。また、周囲の地形と比較すると地盤が弱いため、三角州や氾濫原に近い後背低地は、極めて軟弱な特性である点が特徴的です。
浸水しやすい土地は売りにくい?
水害被害は自然災害による不可抵抗力であるため、土地売却の際に売る側が特段の責任を負う必要性はありません。しかし、浸水被害が生じた土地を売却する売主としては、次の2点について責任を負うかどうかの確認が必要です。
- 水害被害が生じたことの説明義務
- 土地の売却後に同様の浸水被害が生じた場合の契約不適合責任(瑕疵担保責任)
これら2点を踏まえ、水害被害にあった場合における不動産売却のポイントを解説します。
1.水害被害が遭った場合は不動産売却において説明責任が生じる
土地の売主は売買にあたって、買主に不測の損害を与えないように、「水害被害が生じた事実」を事前に説明する義務を負います。なぜなら、土地が頻繁に浸水被害を受けると、その土地に建っている(もしくは建つ予定のある)建物の利用にも、支障が生じる可能性が高いからです。買主に判断材料を与える必要があるのです。
また、売主が買主に対して浸水被害の可能性を告知説明すべきかは、「通常予測される程度の雨量によって浸水被害を受けるかどうか」もポイントです。加えて、「買主が浸水の可能性について重大な関心を寄せていたどうか」も、売主が浸水被害について説明義務を負う可能性があるため、注意が必要です。
たとえば、「買主が不動産会社に、不動産への雨水流入の懸念について問い合わせをおこなっていた場合」や、「過去の浸水履歴や対応状況について、買主が正確な情報を求めていた場合」。このような状況下において、売主は買主に対して水害被害が生じた事実を事前に説明する義務が生じます。
売主が買主に対して説明義務を怠ると、買主から訴訟を起こされた際に裁判で不利になる場合もあるため、説明義務をおろそかにしないことが重要です。
2.土地の売却後に同様の浸水被害が生じた場合の契約不適合責任(瑕疵担保責任)
「土地の売却後に同様の浸水被害が生じた場合の契約不適合責任(瑕疵担保責任)」に関しては、水害の事実が売買において、「直ちに土地そのものに瑕疵があるとはみなされない」と考えてよいでしょう。
なぜなら、「浸水するかどうか」は土地だけの問題ではなく、一般的な場所の特性や環境が原因のこともあり、土地の価格はそれらリスクをあらかじめ鑑みて評価されている場合が多いからです。また、その土地が容易に浸水するかどうかは、土地周辺の宅地開発の進み具合や道路の排水設備がどのくらい整っているかなど、土地以外の要素にも大きく左右されます。土地の性質は恒久的に続くわけではなく解消される可能性もあるため、水害被害が生じただけで、すぐに「土地そのものに瑕疵がある」という考え方にはなりません。
これらのポイントを踏まえ、水害被害が生じた土地を売却する際には、買主の関心事項に添いながら、説明義務や契約不適合責任の有無を十分に検討する姿勢が大切です。
土地の売却時、水害に関連したよくある相談とは
土地を売却する際には、どのような点に気をつければよいのでしょうか。
水害が生じた土地を売却する際によくある相談内容について解説します。
ハザードマップの情報は売却の可否に影響がある?
ハザードマップによる災害リスクやネガティブ情報は、法律に鑑みてもすべて説明する義務はありません。しかし、過去に災害のあった地域に当該不動産が属す場合には、宅地建物取引業法によって、重要事項説明において告知することが義務付けられています。
2020年の7月に宅地建物取引業法施行規則が改正され、「契約を締結するかどうかの判断に多大な影響を及ぼす重要な事項」の説明内容として、水防法に基づき作成された「水害ハザードマップにおける対象物件の所在地」という項目が追加されました。この規則改正により、最新のハザードマップを重要説明事項に添付するだけでなく、不動産の所在地がハザードマップのどの位置にあるかを明示する必要性がでてきています。
近年多発している水害被害の甚大さをみると、水害リスクが不動産の価値になんらかの影響を与える可能性は十分にあり得ます。たとえば、武蔵小杉や二子玉川などは、比較的水害リスクの高い地域ですが、これまで人気のある住宅地域の一つとされてきました。今後、こういったエリアの不動産価格に説明事項追加がどのように影響を及ぼすかは、これからも注視が必要といえるでしょう。
川が氾濫しやすい場所にある土地を売却する際のポイントは?
川が氾濫しやすい場所にある土地を売却する際のポイントは、「売却予定の土地がハザードマップでどのような位置にあるかの確認」にあります。なぜなら、売却する土地からの避難場所や避難経路をしっかりと把握することは、その土地に安心して住めるという安全性を買主にアピールできるからです。
たとえ売却予定の土地が災害リスクの高い場所に位置していても、その土地に建物を建築する際に特別な建築規制がある可能性は少なく、売却価格が大きく下がることは、これまでめったにありませんでした。しかし、昨今の豪雨被害の多発により、慎重を期して購入を敬遠するケースも多いのも事実です。したがって、土地周辺の災害状況によっては、ある売却価格を相場よりも低めに設定しなければ土地を売却できない可能性があることにも留意しましょう。
また、水害の被害履歴は売主のみが把握しており、不動産会社は知らない場合があります。過去に水害があった事実を告知しないまま売却すると、後に洪水の履歴が判明した場合に契約不適合として損害賠償を求められるケースもあるようです。「売却価額に不利になるから」と、水害の過去を隠すのではなく、事実をしっかり確認して、正確に買主に伝えるようにしましょう。
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