健康上の被害があると、一時はメディアで大きく扱われたこともあるアスベスト。家を売るタイミングで、自身が所有する住宅にもアスベストが使用されているのではないかと気になる方は多いと思います。
今回は、アスベストと不動産売買について解説します。起こりうるトラブルや除去に要する費用について確認しましょう。

アスベストが使われた建物と契約不適合責任(瑕疵担保責任)
まずは、建物などの不動産売買をする際に、アスベストがどのような形で問題となりうるのか、いわゆる契約不適合責任(民法改正以前は「瑕疵担保責任」)の観点から説明します。
アスベスト含有不動産売買は今でも問題になりうる?
かつて、アスベスト(石綿)は、安価で建物の耐久性を高めることができることから多くの建物で使用されてきました。しかし、アスベストを含有する建物を長期間使用した場合に生じる健康被害が明らかになり、社会問題化したため、現在では建物におけるアスベスト使用には厳しい制限が加えられています。
しかし、中古住宅については、建物が建てられたときには未だアスベスト規制が存在しなかったため、今でもアスベストを含有する不動産の売買が行われることがあります。
そのため、健康被害問題や、アスベスト含有建物に関する契約問題、アスベスト除去費用に関する紛争が生じています。
アスベスト含有不動産に関する契約不適合責任(瑕疵担保責任)
売買不動産にアスベストが含まれていることが判明した場合、撤去費用などに関する損害賠償請求や売買契約解除が問題となり、売主の契約不適合責任(瑕疵担保責任)が問われることになります。
契約不適合責任(瑕疵担保責任)とは、売買の目的物に「隠れた瑕疵」がある場合に、売主に課される法的責任です。
通常の不動産売買において、契約時に特に明示されていない限り、買主は当該不動産に何か問題があるとは考えません。購入した住宅に健康に害のあるアスベストなどが含まれていると想定しないのです。
それにも関わらず、購入からしばらく経ってから、アスベスト含有が判明した際に、買主が何の保護もされないのは適切ではありません。したがって、このような買主を保護する目的から、売主には瑕疵担保責任が課されています。
ここで、売主側には1つの疑問が生じます。「買主がアスベストについて気が付かなったのと同様に、売主である自分もまさかアスベストが使用されているとは思わなかった場合はどうなるのか」です。
確かに、アスベスト使用の有無は、建物を見ただけですぐに判明する類のものではありません。この点を不満に感じる売主がいるのも自然なことに思えます。
しかし、不動産の売買について、取引される不動産がどのような内容でどのような性質を有しているかを説明し、契約内容にそれを盛り込むのは売主の責務です。売買目的物の内容や条件が充分に説明されてはじめて、それに対する正当な対価である買値が設定されるものだからです。そうでなければ、中古住宅の売買という市場そのものが成立しなくなってしまいます。
したがって、アスベスト含有はもちろんのこと、「隠れた瑕疵」については、売主側の契約不適合責任(瑕疵担保責任)が重く扱われてもやむを得ないと理解しましょう。
不動産を売るときアスベスト調査は義務か
不動産売買の際に、そもそもアスベスト調査が義務付けられているのでしょうか、またどの程度の含有調査をしなければいけないのかについて説明します。
アスベスト含有調査(石綿使用調査)は売主の義務?
結論からいえば、不動産売買の売主側がアスベスト使用調査(石綿使用調査)は義務付けられていません。ただし、調査義務が課されていないからと何もしなくても良いわけでないのは、先述してきたとおりです。
例えば、建物によっては、アスベスト調査の結果が記録されている場合があります。記録には、いつ、どの調査会社が、どの範囲を調査した結果、アスベスト使用の有無、使用箇所が残っています。このような場合、売主側は、記録について説明を果たさなければいけません。
売主のアスベスト対策
本来であれば、建物を売却する前にアスベスト除去を完遂してしまうのが最も安心できる方法です。これによって契約上の問題は防げますし、何より買主の健康被害の不安も無くなるからです。
しかし、実際に不動産売買を行う際に、すべての建物についてアスベスト除去をするのは現実的ではありません。アスベストが建物のどこに使用されたかにもよりますが、除去するならば数十万円から数百万円のコストを要します。不動産の価値に対して、アスベスト除去のコストが高すぎる場合もあるのです。
アスベストに関する契約不適合責任(瑕疵担保責任)を問われないためには
アスベストの完全除去が難しい場合、アスベストに関する情報を契約書に盛り込んでおくことが必要になります。
先述のように、契約不適合責任(瑕疵担保責任)は、売買契約時に知ることができなかった「隠れた瑕疵」によって買主が被害を受けた場合に問題となるものです。つまり、売買契約時にアスベストに関する情報を買主側に提供し、それを含んだ契約内容にしておけば、売主の契約不適合責任(瑕疵担保責任)は発生しないことになります。
では、売主はどのような形でアスベストに関する情報を契約内容に盛り込めば良いのでしょうか。
アスベストが気になる売主は不動産買取がおすすめ
建物などの不動産売買におけるアスベストの取り扱いについては慎重な対応が求められます。しかし、そもそも瑕疵を気にする必要がない取引形態もあります。
不動産買取なら瑕疵の責任がない
不動産事業者による買取では買主が宅建業者となるため、原則として売主は契約不適合責任(瑕疵担保責任)を負いません。不動産取引のプロである不動産事業者はアスベスト含有の可能性やリスクを理解した上で、物件購入の判断ができるからです。所有する物件のアスベストが気になる方は、まずは不動産買取の相談をしてみるといいでしょう(※)。
(※)物件の状態や諸条件によって買い取れないケースもございます。一度ご相談ください
不動産を売却するならオープンハウスが買取ります
オープンハウスは、売れなくて困っている土地、いびつな土地や古い建物が建ったままの土地でも、積極的に買い取ります。
電話やネットからお問い合わせいただければ、経験を積んだ専門のスタッフが買い取り価格を素早く算出し、24時間以内にお知らせします。価格に納得頂ければ最短48時間で現金化も可能です。


商談が未成立でも相談料等は発生しません。お気軽にお問い合わせください。