「老後2,000万円問題」などに端を発して、老後の生活や資金計画に不安も持っている世帯は少なくありません。
では、老後資金とは具体的にどれくらい必要なのでしょうか。老後の生活費の目安や、資金捻出方法についても紹介します。
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持ち家がある場合の老後の資金
日本人の平均寿命は伸長しており、老後に必要な資金は昔よりも増えています。
では、具体的に日本の平均寿命はどのくらい伸長しているのでしょうか?
それは以下のグラフからわかります。
出典:厚生労働省「令和2年版 厚生労働白書-令和時代の社会保障と働き方を考える」
上記のように女性の平均寿命は29年間で約6歳伸長して約88歳になっており、男性も約6歳伸長して約82歳なっています。
このように、寿命が伸長しているため、老後に備えて老後の資金がどれくらい必要なのかを理解しておくことが非常に重要です。
そこで、ここでは持ち家がある方の老後の生活費や年金などについて解説していきます。
持ち家がある場合の老後の生活費
総務省が公表している「家計調査年報(家計収支編)2020年(令和2年)」によると、65歳以上の夫婦のみの無職世帯の支出の月平均額は24万9,399円でした。
項目 | 金額 |
食料 | 65,804 |
住居 | 14,518 |
光熱・水道 | 19,845 |
家具・家事用品 | 10,258 |
被服及び履物 | 4,699 |
保健医療 | 16,057 |
交通・通信 | 26,795 |
教育 | 4 |
教養娯楽 | 19,658 |
諸雑費 | 19,351 |
諸経費 | 19,826 |
仕送り金 | 1,384 |
直接税 | 12,589 |
社会保険料 | 18,551 |
合計 | 249,339 |
引用:総務省「家計調査年報(家計収支編)2020年(令和2年)」Ⅱ総世帯及び単身世帯の家計収支から作成
上記の支出の内訳から住居に掛かっている1万4,518円を除いた23万4,821円が、持ち家世帯の月の支出平均額になります。
ただし、この23万4,821円はあくまで目安です。個人によって生活水準なども異なるため、自身で計算する場合には上記の項目を参考にしてどれくらいの支出があるかを計算するようにしてください。
年金の支給額平均
厚生労働省が公表している「令和元年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、国民年金の平均支給額は約5万6,000円で、老齢年金が14万6,000円でした。
たとえば、国民年金のみを夫婦で受け取ったときの支給額は約13万円です。65歳以上の夫婦のみの無職世帯(持ち家)の支出の月平均額は約23万円だとすると、毎月10万分生活費が足りない計算になります。
また、夫が会社員で老齢年金、妻が専業主婦で国民年金の場合の支給額は約20万円です。そのため、この年金支給額であっても毎月3万円分生活費が足りません。
上記のことから年金だけで、生活するのが難しいのがわかります。
老後に必要なお金(夫婦)のシミュレーション
老後に必要なお金(夫婦)をシミュレーションしてみましょう。
前提条件
- 66歳〜88歳までの生活費:23万4,821円
- 88歳まで生きると仮定(女性の平均寿命が87.45年から設定)
- 66歳〜88歳からの生活費は65歳以上の夫婦のみの無職世帯(持ち家)支出と仮定
66歳〜88歳までの生活費:23万4,821円(1カ月の生活費)×12(月)×23(年)=64,81万596円
上記のシミュレーションによると、65歳で定年した場合の最低限必要な生活費は、約6,481万円でした。
老後資金はいくらあれば安心?
老後資金は最低でも約6,481万円必要だと説明しました。しかし、この金額はあくまで目安の金額になります。
一般的にはどれくらい老後の資金が不足するかを理解したうえで、自身の経済状況から老後の資金を計算する必要があります。
そこで、ここでは過去にニュースにもなった「老後の資金が2,000万円不足する問題」と、「老後の資金がいくら必要かを把握する方法」について解説していきます。
老後の資金は2,000万円不足する?
金融庁の金融審査会議「市場ワーキング・グループ」の報告書によると、老後の資金は2,000万円不足すると報告されています。この内容は一時期ニュースにも取り上げられて大きな話題になりました。
上記の報告書によると、定年退職後の夫婦のみ世帯は毎月5万5,000円の赤字になると報告されています。
定年後で毎月5万5,000円の赤字になった場合、30年で不足する金額は以下です。
5万5,000円(毎月の赤字額)×(30(年)×12(月))=1,980万円
このように、将来的に資金2,000万円程度に不足する可能性があるため、老後の資金を捻出することは非常に重要です。
老後に必要な資金を把握する方法
老後に必要な資金を把握するための方法には、以下の手順で資金を計算する必要があります。
- 家計収入を計算する
- 家計支出を計算する
- キャッシュフロー表を作成してシミュレーションを行う
上記の手順について詳しく解説していきます。
家計収入を計算する
まず、老後の家計収入を計算して把握しておくことが重要になります。
家計収入を把握することで、生活費の不足金額がわかるためです。
なお、家計収入を把握する際には、年金以外の収入も忘れずに計算するようにしてください。
家計支出を計算する
家計収入が計算できたら家計支出も把握する必要があります。
各費用にいくら使用しているかを把握することで、家計収入に対しての赤字を把握しているかが分かります。
また、不定期で発生する車の買い替えや住居のメンテナンス費なども想定して計算しておくことが重要です。
上記のように月の支出だけでなく、将来的に必要になる支出も計算することで、正確に把握することができます。
キャッシュフロー表を作成してシミュレーションを行う
毎月の家計収入や家計支出を計算したら、キャッシュフロー表を作成して長期間のシミュレーションを行ってください。
長期間のシミュレーションを行うことで、将来的に足りない費用などがわかるため、資金計画などが立てやすくなります。
老後に必要な資金をあらかじめ把握しておくことは、老後にゆとりのある生活を送るために非常に重要です。
不安な場合はファイナンシャルプランナーに相談する
自身で老後に必要な資金の計算をしても不安がある場合は、専門家であるファイナンシャルプランナーに相談してみてください。
ファイナンシャルプランナーに相談することで、現在の資金状況や将来的に必要な老後の資金について正確に計算をして、適切なアドバイスをもらえることが期待できます。
老後資金の捻出方法
余裕のある老後を過ごすためには、老後資金の捻出方法について理解しておくことが重要です。
老後の捻出方法を理解しておくことで、老後の資金が足りない場合に資金を準備することができるためです。
そこで、老後の資金の捻出方法について紹介していきます。
支出を見直して赤字が出ないようにする
老後の資金を捻出するための方法として最も簡単なのが支出を見直す方法になります。
支出を見直して赤字を無くすことで、家計収入だけで生活を送ることが可能です。
たとえば、都市部で車を所有している場合は車を手放すことによって、車の維持費を節約することができます。上記のように食事や電気代ではなく、固定費を見直すのが有効な方法です。
投資を行って資産形成をする
株式投資や不動産投資、投資信託などの投資を行って資産を形成しておく方法も老後資金の捻出方法としておすすめの方法になります。
投資で資産形成をしておくことで、退職後でも収入を得ることができるためです。
さらに、資産を増やしておくことで、資産を現金に変えて生活費に充てることもできます。
ただし、投資を行って資産形成をする場合は、短期間で資産を増やすのは容易ではありません。
そのため、できるだけ若いうちから投資を行っておくことをおすすめします。
不動産(自宅)を買取ってもらい資金を捻出する
老後の生活費が足りない場合は、持ち家を買い取ってもらって資金調達をする方法もあります。
この方法では、不動産の売却金が手に入るため、売却金を生活費に充てることが可能です。
ただし、不動産を売却してしまった場合は住む場所が必要になるため、新しい住居の家賃を支払う必要があります。
そのため、持ち家を売却した資金を使用して、新しい住居に住み替える方法もおすすめです。
例えば、戸建住宅からマンションに住み替えるなどです。このように、持ち家がある場合は、持ち家を売却して老後の資金を捻出する方法も検討してみてください。
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