マイホームを所有していると、固定資産税などの税金がかかることはご存知の人も多いでしょう。こういった税金は、人の住んでいない空き家にも課せられます。さらに、空き家税という新しい税金を課すという話も耳にします。空き家税がいつから始まるのかなど、空き家の税金について解説します。
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空き家にかかる税金の種類
高齢化社会が進む日本では、空き家の増加が深刻な社会問題となっています。空き家は今後も増え続けると予想されているため、これから空き家に対する法律はより強化されるでしょう。万が一、「特定空き家」に指定されれば、住宅用地の特例措置も外されてしまい、大幅な増税や強制撤去される可能性もあります。そこでこの章では、空き家税について解説するとともに、空き家を所有しているとかかる税金、さらに住宅用地特例とは何かについて解説します。
そもそも「空き家税」とは?
2022年3月、京都市で日本初となる「空き家税」の導入が発表されました。空き家税の正式名称は「非居住住宅利活用促進税」といい、非居住住宅とは住民票の有無に関わらず居住者がいない空き家や別荘のことを指します。空き家を所有していると固定資産税と都市計画税がかかりますが、空き家税導入後はそれらに加えて「非居住住宅利活用促進税」が課されます。
空き家税は空き家などの所有者に対し、家屋評価額の0.7%を固定資産税に加えて課税するというものです。例外として、資産価値の低い家屋を所有し、売却できないという人を配慮するため、導入から5年間は固定資産税評価額が100万円未満の建物を対象外にしています。
なぜ、京都市は空き家税を導入したのでしょうか。京都市が空き家税を導入した背景と目的は次のとおりです。
- 空き家の売却を促し、京都市内の居住地を増やす
- 財源を確保し、持続可能な街づくりを目指す
京都市内では、2029年度(令和11年度)の導入が予定されています。今後は、京都市が導入した結果を見て、空き家税の導入を検討する自治体が増えてくるでしょう。
空き家にかかる固定資産税と都市計画税
固定資産税は、毎年1月1日時点で不動産登記をしている人に対して課されます。そのため、所有している不動産が「空き家」であっても固定資産税はかかります。また、所有している不動産が、都市計画法にもとづく市街化区域内にある場合は、都市計画税もかかります。固定資産税と都市計画税は次の計算式で求められます。
固定資産税
固定資産税評価額(課税標準額)×1.4%
都市計画税
固定資産税評価額(課税標準額)×0.3% ※上限
ただし、固定資産税は地方税のため、自治体によって課税率が異なります。所有している不動産の管轄の自治体で確認してください。
空き家にも「住宅用地特例」が適用されている
空き家にはさまざまな減税制度がありますが、「住宅用地特例」もそのひとつです。住宅が建っている土地は住宅用地特例が適用されるため、更地に比べて固定資産税が最大6分の1まで軽減されます。住宅用地特例の内容は次のとおりです。区分 | 固定資産税の計算式 |
小規模住宅用地(200㎡以下の部分) | 固定資産税評価額×1/6×1.4% |
一般住宅用地(200㎡を超える部分) | 固定資産税評価額×1/3×1.4% |
面積150㎡の住宅用地、固定資産税が土地1,000万円、建物800万円の合計1,800万円の場合を例に見てみましょう。
1,800万円×1/6×1.4%=42,000円
次に、空き家を解体して更地にした場合を計算してみます。
1,000万円×1.4%=140,000円
このように、住宅用地特例が適用されると、98,000円もの差が生じます。相続などで実家を引き継いだとき、むやみに取り壊して更地にしてしまうと、固定資産税が大幅に上がってしまうことがあるため注意しましょう。
いつから空き家の固定資産税が6倍になる?
2023年12月13日「空家等対策の推進に関する特別措置法の一部を改正する法律」という空き家対策に関する法律が改正されました。これによって、放置空き家の固定資産税が最大6倍になるといわれています。では、空き家を放置すると、なぜ固定資産税が6倍になるのでしょうか。
「特定空き家」と「管理不全空き家」の違いや、いつから固定資産税の法改正が適用となるのかなどを解説します。
特定空家と管理不全空家
2015年5月「空家等対策の推進に関する特別措置法」が施行されました。この特別措置法のなかで誕生したのが「特定空家」です。さらに、2023年の「空家等対策の推進に関する特別措置法の一部を改正する法律」では、特定空家に加えて、「管理不全空家」という新制度が加わりました。どちらも空き家という点は同じですが、それぞれの特徴は次のとおりです。
特定空家(2015年施工) |
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管理不全空家(2023年新制度) |
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要するに管理不全空家は、そのまま放置すると特定空家になるおそれがある空き家のことを指します。特定空家または管理不全空家に指定されると、行政からペナルティが課せられます。特定空家は重い罰則を科せられるため、特に注意が必要です。
行政から「勧告」を受けた翌年度から適用される
これまで、固定資産税の軽減措置が受けられなくなる対象は「特定空家」だけでした。しかし、2023年以降は「管理不全空家」も対象となります。軽減措置がなくなって固定資産税が6倍になるまでの流れは次のとおりです。
- 空き家の状態や周囲への影響を確認
- 建物所有者の調査
- 特定空家に認定
- 所有者に対して助言と指導
- 勧告
- 命令
- 行政執行
市町村長から勧告を受けても改善されない場合、住宅用地特例が適用できなくなり、固定資産税がこれまでの6倍になるおそれがあります。「固定資産税が6倍になる」と聞くと、不安になる人もいるかもしれません。しかし実際は、空き家を所有してから勧告を受けるまでにかなり時間的な猶予が設けられています。
また、いきなり固定資産税が6倍になるのではなく、まず行政から助言と指導が入ります。この段階で改善できれば金銭的なペナルティを受けることはありませんので、安心してください。
空き家の固定資産税は誰が支払う?
空き家の固定資産税は、前年度の1月1日時点の所有者に納税義務があります。空き家を共有名義にしている場合は、権利者全員に納税義務があります。共有名義で誰がいくら納税するのかは、持分割合で決まります。しかし、固定資産税納付書は代表者にしか届かないため、一部の人が納税に応じないなど、トラブルになるケースも少なくありません。
トラブルを防ぐには、空き家の名義を単独名義に変えるのが有効です。また、空き家の所有者が亡くなっている場合は、相続者全員に納税義務が発生します。固定資産税を支払わないまま放置しておくと、延滞税の発生、督促状の送付を経て土地、建物、現金、貴金属類、有価証券などが差し押さえられます。給料や預金なども差し押さえの対象です。給料が差し押さえられると、家族や周囲へも影響が出るため必ず納税しましょう。
空き家とはどんな家のこと?
一言に空き家といっても、建物種別によって定義が異なります。ここでは、戸建て、集合住宅、店舗の空き家の定義について見ていきましょう。
一戸建てが空き家の場合
国土交通省は「1年以上誰も住んでいない、もしくは使用されていない建物」を空き家と定義しています。建物が使用されていないかどうかは、次の項目をもとに判断されます。
- 人の出入りの有無
- 電気・ガス・水道の使用状況
- 住宅の登記記録の内容
- 所有者の住民票の内容
- 適切な管理の有無
- 所有者の主張
これらの項目から1年以上使用されていないと判断されると、空き家に指定されます。
集合住宅(マンション・アパート)の一室が空き家の場合
マンションやアパートなどの集合住宅は、すべての部屋が空室になったときに空き家となります。そのため、1人でも住んでいれば、空き家に指定されることはありません。しかし、マンションは毎月管理費や修繕費がかかります。すべての部屋が空室になってからすぐに売却すれば問題ありませんが、空室のまま所有し続けると、毎月の出費に加えて、固定資産税など無駄なコストがかかります。
また、あまりにも古い建物は共用部分の劣化が進んで、大規模改修工事が必要になることも考えられます。大規模改修工事に備えて修繕積立金が値上げするおそれもあるため、空室の物件は売却する、賃貸に出すなどの対策を検討しましょう。
店舗が空き家の場合
国土交通省及び、総務省は、「空家等には、使用がなされていないことが常態である建物又はこれに付属する工作物及びその敷地であれば、店舗や工場など住宅以外の建物等も対象となる」としています。したがって、店舗が空き家の場合も一般住宅(戸建て)と同じ基準で判断されます。
なお、空き店舗や倉庫、工場、旅館などの建物は、適性管理や利活用のコストが大きく、住宅と比較して管理・活用が難しいという特徴があります。空き店舗を放置すればさらにコストがかかるため、早めの対処が必要です。
空き家の税金が6倍になる前に行うべき4つの対策
特定空家に指定されると、固定資産税がこれまでと比べて最大6倍になるおそれがあります。しかし、事前に対策をすることで、空き家税は防ぐことが可能です。空き家の所有者が行うべき4つの対策を紹介します。
空き家を適切に管理する
管理不全空家や特定空家に認定されても、固定資産税がすぐ6倍にはなりません。行政の助言や指導にしたがって空き家の状態を改善することで、特定空家から解除される可能性があります。
ただし、空き家の状態を解除するには、手間と費用がかかります。空き家の管理をあと回しにすれば、経年劣化でさらに状態が悪化するおそれもあるため、助言と指導があったらすぐに対策することが大切です。
空き家を賃貸に出す
空き家を賃貸に出して入居者が見つかれば、空き家として扱われなくなるため固定資産税が6倍になるリスクを回避できます。ただし、あまりにも築年数が経過している物件は、リフォームや建て替えを行う必要があるでしょう。近年は、入居者の希望やニーズに合わせてリフォームすることが一般的です。そのため、自己判断でリフォームせず、まずは不動産会社へ相談しましょう。
空き家を解体する
空き家を解体して更地にすることで、建物に対する固定資産税がなくなります。さらに、古家付き土地として売却するより、更地なら活用方法が広がって売却しやすくなります。解体には費用がかかりますが、自治体によっては空き家の解体に補助金制度を設けています。事前に確認してみましょう。ただし、空き家を解体すると、住宅用地特例の適用から外れてしまいます。住宅用地特例の適用は1月1日時点の住居の有無で判断されるため、空き家を解体するときは年末を避けることをおすすめします。
空き家を売却する
空き家を解体せず、古家付き土地として売却する方法もあります。古家付き土地として売却できれば、解体費用を負担せずに売却できます。また、固定資産税や都市計画税、空き家の維持・管理にかかる負担を軽減できるでしょう。
さらに、空き家が売却できれば、まとまった資金を得ることも可能です。所有し続ける理由がない人は、空き家になった時点ですぐに売却することをおすすめします。
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