公開日:2025年06月03日
古い家を売るには?方法・流れ・税金・注意点をわかりやすく解説

古い家を売るには?方法・流れ・税金・注意点をわかりやすく解説

古い家の売却には、物件状態や法的な基準、売却方法に応じた対応が必要です。買い手が見つからず、空き家として放置されるケースもあり、早めの対策が重要になります。この記事では、古い家の売却の流れ、注意点、かかる税金、使える制度をわかりやすく解説します。

オープンハウスの買取事例

古い家を売る方法とその特徴

古い家を売る際には、一般的な不動産売却とは異なる選択肢やポイントがあります。築年数劣化の程度で売りやすい方法は変わるため、状況に合った売却手段を見極めることが大切です。


ここでは、代表的な売却方法とその特徴をご紹介します。


買取業者を利用して売却する方法

築年数が古い家をすぐに売りたい場合、不動産会社による「買取」が有力な選択肢です。買主を探す必要がなく、業者が直接買い取るため、手続きが早く、現状のまま売却できます。老朽化が進んだ物件やリフォームが難しい家でも対応可能です。


ただし、仲介売却に比べて価格が低くなる傾向があるため、スピードと価格のバランスが重要です。


仲介業者を利用して売却する方法

一般的な売却方法として、不動産会社に仲介を依頼し、買主を探す方法があります。立地や状態が良い物件は高値が期待できますが、古い家では購入希望者が限られ、売れにくいケースも少なくありません。


売却に時間がかかり、内見対応や価格交渉にも手間がかかります。


空き家バンクを利用して売却する方法

自治体が運営する「空き家バンク」も売却方法の一つです。これは、地域に空き家を紹介し、定住や地域活性化を目的とした制度で、主に地方で利用されています。


地元に住みたい人や移住希望者にアピールできるため、築年数が古くても購入希望者が現れることがあります。

古い家と判断される基準とは?

家の売却を考える際、「古い家」がどのような状態を指すのかを知ることは重要です。古い家は、築年数だけでなく、構造、利用状況、法律上の基準など、複数の観点から判断されます。


これらを理解しておくことで、売却の方針を立てやすくなります。ここでは、代表的な4つの「耐用年数」について解説します。



法定耐用年数

法定耐用年数は、税法上で定められた建物の使用年数の目安です。たとえば、木造住宅は22年、鉄筋コンクリート造は47年など、構造によって年数が異なります。


法定耐用年数を超えた建物は、資産価値が減少していると見なされやすく、売却時の価格にも影響する可能性があります。


物理的耐用年数

物理的耐用年数とは、建物の構造そのものが使用に耐える期間を指します。法定耐用年数よりも長くなる場合があり、メンテナンスの状況や建築工法によって左右されます。


しっかりと管理されている古い家であれば、見た目以上に価値を維持していることもあります。


経済的耐用年数

経済的耐用年数は、建物の利用価値が経済的に成立する期間を意味します。たとえば、家賃収入や活用目的に見合うかどうかといった視点から判断されるため、収益物件や投資対象としての価値を測る際に使われます。


期待耐用年数

期待耐用年数とは、現時点から見て、あとどれくらい使えるかを見積もる年数です。建物の状態や立地、用途によって個別に判断されることが多く、買主や不動産会社の評価によって変動します。


この基準は、実際の売却価格やリフォーム提案にも影響を及ぼす要素となります。

古い家を売るまでの流れ

古い家を売却するには、状態の確認から契約引き渡し税金の手続きまで、いくつかのステップを踏む必要があります。築年数が経過していても、準備をしっかり整えればスムーズな売却が可能です。


ここでは、売却完了までのおおまかな流れを紹介します。


Step1:物件の状態と売却方法を確認する

まず、建物の劣化状況や土地の状態など、現在の物件状況を把握します。ひび割れ、雨漏り、基礎の劣化がある場合、現状で売るかリフォームするかの判断が必要です。さらに、「買取」「仲介」「空き家バンク」など、どの売却方法が現実的かも検討します。


また、土地が自己所有でなく借地の場合は、借地権の扱いが売却に大きく影響します。



Step2:買取・仲介どちらにするかを考える

古い家の売却では、スピード重視なら「買取」、価格優先なら「仲介」が一般的な選択肢です。買取は業者が直接買い取るため、現状のままで売却できます。仲介は買主探しが必要ですが、市場価格に近い金額で売れる可能性があります。目的に応じて判断しましょう。


Step3:不動産会社に査定を依頼する

売却方針が決まったら、不動産会社に査定を依頼しましょう。複数の業者に見積もりを取ることで、相場把握や各社の比較ができます。古い物件の実績がある会社を選ぶと、的確なアドバイスが得られるでしょう。査定は無料で行われることが一般的です。


Step4:契約条件を確認し、売却先を決定する

査定結果を比較し、納得できる不動産会社や買主を選びます。価格の他、引き渡し時期、手付金、瑕疵対応など、契約条件を細かく確認することが重要です。


築古物件はトラブルリスクがあるため、不明な点は事前に相談し、書面で取り決めておきましょう。


Step5:売買契約を締結し、必要書類をそろえる

売却先が決まったら、売買契約を締結します。契約時には、本人確認書類などが必要です。契約書には売買金額、引き渡し日、支払い方法が明記され、双方が合意し署名・押印します。手付金の受領もこの段階で行われます。


Step6:物件の引き渡しと代金の受け取りで売却完了

売買契約成立後、事前に決めた日程で買主に物件を引き渡し、残代金を受け取ります。この際、司法書士の立ち会いのもと、所有権移転登記や鍵の受け渡しが行われるのが一般的です。


残代金の入金を確認し、必要書類を提出すれば売却手続きは完了します。


Step7:確定申告をする

古い家の売却で利益が出た場合、翌年の確定申告が必要です。譲渡所得に課税される可能性があるため、契約書、取得費のわかる資料、仲介手数料の領収書などを保管しておきましょう。


控除や特例が適用されるケースもあるため、条件を確認し、早めに準備を進めることが大切です。

古い家を持ち続けることのデメリット

築年数が経過した家をそのまま所有し続けると、売却や活用しないまま年月が経ち、様々な負担リスクが発生します。ここでは、古い家を所有し続けることによる主なデメリットを解説します。


管理の手間と維持コストがかかり続ける

誰も住んでいない家でも、換気、草木の手入れ、雨漏りや腐食の点検など、日々の管理は欠かせません。放置すれば劣化が進み、将来的に売却や賃貸が困難になる恐れもあります。


遠方に住む場合、管理がさらに大変になり、代行サービス利用時には費用もかかります。


固定資産税などの税負担が継続する

使用していない家でも、所有している限り固定資産税や都市計画税などが毎年かかります。建物が老朽化し資産価値が下がっても、税額が大きく減るわけではありません。


収益を生まない家を持ち続けると、支出ばかりが積み重なることがあります。


老朽化による倒壊・災害リスクが高まる

築年数が古い家は、地震台風大雨などの災害で倒壊リスクが高まります。特に空き家は劣化に気づきにくく、倒壊や飛散物で近隣トラブルにつながる恐れもあります。


管理不十分なまま所有し続けることは、地域全体の安全問題にもなりかねません。


特定空家に指定されると行政指導の対象になる

老朽化が進み、著しく問題と判断された家は「特定空家」に指定されることがあります。指定されると行政から改善命令や勧告を受け、最悪の場合、強制解体されることもあります。


さらに、固定資産税の軽減措置が解除され、経済的負担が大幅に増えるケースもあります。

古い家を売った時にかかる税金とは?

古い家を売却し利益が出た場合、いくつかの税金が発生します。税金の種類や金額は、売却価格だけでなく、取得費用、所有期間、特例の有無などによって変わります。


ここでは、売却時に関係する代表的な税金について解説します。


譲渡所得税

譲渡所得税は、家を売却し得た利益(譲渡所得)に課される税金です。譲渡所得は「売却価格−(取得費+譲渡費用)」で計算され、所有期間が5年を超えるかで税率が変わります。長期所有は税率が軽くなりますが、古い家でも利益が出れば課税されるため、事前に計算しておくと安心です。


住民税

譲渡所得が発生した場合、住民税もかかります。所得税と同様に譲渡所得をもとに計算され、税率は長期譲渡所得で5%、短期は9%が基本です。所得税とあわせて確定申告で申告・納付する必要があり、課税タイミングは売却した翌年の納税時期になります。


特別復興所得税

特別復興所得税は、東日本大震災の復興財源として導入されました。所得税に2.1%が上乗せされて課されます。家を売った場合も、譲渡所得が課税対象となれば自動的に加算されます。


印紙税

売買契約書作成時には、契約金額に応じた印紙を貼る必要があります。これが印紙税です。不動産売買契約書の印紙税額は、1,000万円超〜5,000万円以下の契約で1万円となります。


印紙を貼らずに契約書を作成した場合、過怠税が発生するため注意しましょう。


登録免許税

売主の負担は少ないですが、売却に伴う登記手続きで登録免許税が発生することがあります。例えば、登記簿上の住所が現住所と異なる場合や、相続登記を経て売却するケースなどです。


必要性は登記状況で変わるため、事前に確認しておくとよいでしょう。

古い家を売るときに適用できる税優遇制度について

古い家を売却し利益が出た場合でも、一定条件を満たせば税負担を軽減できる制度があります。控除特例の適用で、課税される譲渡所得を大きく減らせる可能性があるため、該当制度がないか事前に確認することが大切です。


3,000万円の特別控除

マイホームを売却する場合、譲渡所得から最大3,000万円まで控除できる特例です。一定の居住要件や所有期間を満たせば、古い家でも適用されます。家屋が古くても居住用であれば利用しやすく、確定申告によって適用されます。


被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例

相続した家が一定条件を満たす場合、譲渡所得から最大3,000万円の控除が受けられる制度です。対象は、被相続人が一人暮らしで住んでいた家を、相続人が取り壊すか一定基準にリフォームして売却したケースなどです。


空き家対策として設けられ、適用には手続きと証明書類が必要です。


マイホームを売ったときの軽減税率の特例

マイホームの所有期間が10年を超える場合、譲渡所得の一部に通常より低い税率が適用されます。この特例で、所得税が10%、住民税が4%と軽減されます。


3,000万円の特別控除と併用でき、長く住んだ古い家を売る際に特に効果があります。


低未利用土地等を譲渡した場合の長期譲渡所得の特別控除

土地付きの古い家を売却し、建物が老朽化していて利用されていなかった場合、この控除が活用できることがあります。個人が対象土地を売却し、一定条件を満たすと、譲渡所得から最大100万円が控除されます。


空き地や老朽家屋の再利用を促進する制度で、適用には市区町村の証明が必要です。

古い家を売る際の注意点

築年数が経過した家は、売却方法や契約内容によってトラブルになることがあります。安心して手続きを進めるため、事前に注意点を理解しておくことが大切です。


信頼できる不動産会社を選ぶ

古い家の売却には、経験と知識を持つ不動産会社のサポートが不可欠です。築年数の経った物件は価格判断が難しく、査定結果に差が出ることがあります。


複数社に相談し、対応の丁寧さ実績地域の相場理解を確認して、信頼できる会社を選びましょう。


建物の劣化や瑕疵を隠さず正確に伝える

シロアリ被害、雨漏り、基礎のひび割れなど、建物に不具合がある場合、事前に説明が必要です。売却後に瑕疵が発覚すると、契約解除や損害賠償につながる恐れがあります。


売主には「告知義務」があるため、わかる範囲の情報は正確に伝えましょう。


解体やリフォームを急いで判断しない

解体して更地にすれば売れやすい」「リフォームすれば高値で売れる」と考える方もいますが、それぞれ費用やリスクが伴います。古い家の場合、解体して新築を分譲する前提で購入する買取業者もいるので、現状のままがニーズに合うこともあります。


大きな出費になる前に、不動産会社とよく相談することが大切です。

古い家を売るときのよくある質問

古い家の売却を検討する際、多くの方が疑問に感じるポイントがあります。ここでは、よく寄せられる質問にわかりやすくお答えします。


家を売る時にどのくらい費用がかかる?

売却費用は、仲介手数料、登記関連費用、印紙税などが一般的です。仲介手数料は「売買価格×3%+6万円(税別)」が上限となります。測量費や古家解体費がかかる場合もあるため、事前に見積もりを確認することが大切です。


築年数がかなり古くても本当に売れる?

築50年を超える家でも、売却できるケースは十分にあります。土地の価値、立地条件、再建築の可否などで評価されるため、建物の古さだけで判断する必要はありません。現況のまま買取してもらえる場合もあります。



ボロボロの状態でもそのまま売れる?

状態が悪い物件でも、現状のまま買い取ってくれる不動産会社はあります。リフォーム不要で売却できることも多く、解体や修繕を無理に行う必要はありません。


築古物件専門の業者や再利用目的の買主への売却方法もあります。


不動産相場を調べる方法は?

不動産ポータルサイトや、国土交通省の「土地総合情報システム」で周辺の取引価格を調べられます。ただし、古い家は物件ごとの条件差が大きいため、不動産会社による査定も合わせて確認するとよいでしょう。


古い家がなかなか売れないときはどう対応すればいい?

売れにくい原因を明確にし、価格の見直しや売却方法の変更を検討しましょう。買取への切り替えや空き家バンクへの登録も有効です。


また、建物ではなく土地として売る方針に変えることで、早期売却につながることもあります。

古い家の売却に迷ったら、不動産の専門家に相談してみよう

築年数が経った家の売却には、判断に迷う場面が多くあります。「リフォームすべきか」「更地にした方がいいか」「そもそも売れるのか」など、一人で悩むと決断が遅れたり、機会を逃したりすることにつながります。


このような時は、早めに不動産の専門家に相談するのがおすすめです。地域の相場や売却実績に詳しい不動産会社であれば、現状に合った現実的なアドバイスを受けられます。特に、古い家や空き家の売却経験が豊富な会社を選ぶと、的確な判断がしやすくなります。


「思ったより高く売れる」「現状のままで買い手が見つかる」といった可能性もあるため、まずは気軽に一歩踏み出してみることが大切です。

須藤光輝

記事監修

須藤 光輝

宅地建物取引士 応用情報技術者

福島県出身。慶応義塾大学理工学部を卒業後、2014年に中途でオープンハウスに入社。
営業推進部門の立ち上げ、戸建事業の経営計画策定、仕入契約条件の標準化、DXを推進。
買取再販部門の立ち上げ、個人から直接用地仕入を行うためのスキーム確立。
契約管理部門の立ち上げ、事業標準化と生産効率の向上。
事業管理部門の立ち上げ、品質・安全性・顧客満足向上と取り組んできた業務は多岐にわたる。
現在は、他社に先行し実家じまい・家じまいのセミナー講師を務める傍ら、戸建賃貸ファンド・アパート事業の責任者をしている。
趣味は考古学、子どもと一緒にパズルを作ること。

福島県出身。慶応義塾大学理工学部を卒業後、2014年に中途でオープンハウスに入社。
営業推進部門の立ち上げ、戸建事業の経営計画策定、仕入契約条件の標準化、DXを推進。
買取再販部門の立ち上げ、個人から直接用地仕入を行うためのスキーム確立。
契約管理部門の立ち上げ、事業標準化と生産効率の向上。
事業管理部門の立ち上げ、品質・安全性・顧客満足向上と取り組んできた業務は多岐にわたる。
現在は、他社に先行し実家じまい・家じまいのセミナー講師を務める傍ら、戸建賃貸ファンド・アパート事業の責任者をしている。
趣味は考古学、子どもと一緒にパズルを作ること。

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