公開日:2021年02月18日
借地権の買取を検討している方へ|売却の流れと注意点をわかりやすく解説

借地権の買取を検討している方へ|売却の流れと注意点をわかりやすく解説

借地権を所有していると、「この借地権は売れるのか」「地主との関係に問題はないか」と不安に感じることもあるかもしれません。この記事では、借地権の売却を検討している方に向けて、手続きの流れと注意点をわかりやすく解説します。

オープンハウスの買取事例

借地権の売却は可能?買取ニーズとその背景

借地権とは、他人が所有する土地を借り、その土地に建物を建てることや、土地を使用することができる権利です。土地の所有者を「地主」、土地を「底地」と呼びます。


一方で、土地を借りている人は「借地人」と呼ばれます。土地を所有する権利は地主が持っていますが、土地を使用する権利と、土地に建てた建物の所有権は借地人が持っており、「土地」と「建物」に別々の所有権を設定できる日本ならではの制度です。


借地権の解説

土地の借地権は、一般的な所有権のある不動産とは異なり、「本当に売却できるのか」と不安に思う方もいるかもしれません。実際には、こうした借地権の売却を希望するケースが増えており、一定の買取需要もあります。


ここでは、借地権の売却が注目される背景について見ていきましょう。


借地権に買取需要がある理由とは?

土地の借地権に買取需要がある背景には、借地権者と不動産業者の事情があります。借地権者の多くは「使う予定がない」「管理が負担」といった理由から、相続や生活環境の変化を機に手放すケースが増えています。


一方、不動産会社や買取業者は、こうした土地を収益物件として活用したり、再販を見据えて取得することもあります。借地権者にとっては負担の解消、業者にとっては再活用の機会となるため、一定の需要が生まれているのです


借地権が売却される主なケースとは?

借地権が売却される背景には、いくつか共通の事情があります。なかでも多いのが、相続をきっかけとしたケースです。住んでいた土地の借地権を引き継いだものの、遠方に住んでいる、使う予定がない、管理が難しいといった理由から、売却を選ぶ例が目立ちます。


また、高齢化や転居により、長年住んでいた建物を解体し、借地権ごと手放すこともあります。建物の老朽化や借地契約の更新を避けたいといった事情も一因です。このほか、事業や賃貸用として使っていた借地を、事業終了に合わせて整理する例もあります。

相続やライフスタイルの変化を背景に、借地権を買い取りたい人と売却を望む借地権者のニーズが一致するケースが増えています。

借地権トラブルとは?

借地権は、土地を購入するより安価で、土地のコストを抑えて建物を建てることができるなどのメリットがあります。


しかし、その反面デメリットや問題も多い権利です。借地に家を持っている借地人が、借地権や借地に建てた家を売りたいと思うことも少なくありません。代表的なトラブルを紹介していきましょう。


借地にかかるコスト

一見、所有権よりも安く、お得に感じる借地権ですが、様々なコストがかかります。


  • 地主に対して毎月支払う地代(賃料)
  • 更新料
  • 保証金・権利金など(※契約によります)
  • 家を建て替える際には建て替え承諾料
  • リフォームやリノベーションの際には増改築承諾料
  • その他土地を借りる条件を変更する際には条件変更承諾料
  • 借地権と建物を担保としてお金を借りる際は担保権設定承諾料
  • 建物に対する固定資産税や都市計画税

借地人が所有する建物にリフォームを施工する際や、建て替えなどにも地主への承諾料が発生し、時間経過や条件変更、更新のたびに出費が発生します。しかもいくら長く住んでいても土地が手に入るわけではないため、借地を手放したいと思い悩む人が多くいます。


地主との関係が悪化している

借地権を売りたいと思った場合、一般的には地主と交渉して譲渡や返還、買取請求などを行うケースが多いです。


しかし、感情的なトラブルにより地主との関係が悪化していると、買い取ってもらえないことがあります。


借地権の価格が低い

借地権は第三者に売ることもできます。


しかし、上記のように重要な変更やリフォームのたびに地主の承諾や手数料が必要になる借地権は、一般的な土地の価格に比べて資産価値が低くなります。

借地権を売却するには地主の承諾が必要

借地権を売却するには、地主の承諾が欠かせません。借地権者に土地を使う権利があっても、売却には原則として地主の同意が必要とされており、これを省くと契約が無効になるおそれもあります


ここでは、地主の承諾が必要な理由と、手続き上の注意点を解説します。


地主の承諾が必要となる法的な根拠

土地に付いている借地権の売却には、民法第612条第1項に基づき、地主の承諾が必要です。この条文では、借地の譲渡や転貸には原則として地主の同意が求められると定められています。


承諾を得ずに進めると契約が無効となる可能性や、トラブルに発展するリスクがあるため注意が必要です。ただし、必要な手続きを正しく行えば、借地権の売却自体は問題なく進められます。


譲渡承諾料・名義書換料の相場と注意点

借地権を第三者に売却する際は、地主の承諾に加え、「譲渡承諾料」や「名義書換料」が発生することがあります。これらの金額は法律で定められておらず、契約内容や地域の慣習、地主の判断によって異なります。


一般的に、譲渡承諾料・名義書換料はいずれも借地権価格の10%前後が目安とされています。ただし、地主の対応によっては金額が変わることもあるため、事前確認が重要です。


費用が高額だと売却が進みにくくなる場合もあるため、借地に詳しい不動産会社や買取業者に相談し、交渉や条件整理を任せるのも一つの方法です。

借地権の売却で発生しやすい交渉上の課題

土地に付いている借地権の売却では、一般的な不動産と比べて交渉が難航することがあります。


特に、地主との関係性や過去の契約内容によっては、話が進みにくくなるケースもあるため注意が必要です。ここでは、売却時に直面しやすい交渉の課題について紹介します。


地主との交渉が難航する典型的なケース

土地に付いている借地権を売却する際、地主との交渉に時間がかかることがあります。たとえば、承諾に消極的な地主や、譲渡承諾料の金額に折り合いがつかないケースが代表的です。


こうした場面では、不動産会社や買取業者に相談することで、やりとりがスムーズに進むことがあります。


契約内容や過去の取り決めが影響する理由

土地に付いている借地権を売却する際は、過去の契約内容が交渉に影響することがあります。たとえば、「譲渡には地主の書面承諾が必要」と契約書に記載されている場合、形式を重視する地主は細かな手続きを求めることがあります。


また、更新時の覚書や口頭合意が残っていると、認識の違いから話が進みにくくなることもあります。契約書類を整理し、不明点は専門家に確認することが大切です。

借地権の売却は買取業者への依頼が安心

土地に付いている借地権の売却には、地主との交渉や承諾手続き、費用の調整など、専門的な対応が求められます。そのため、個人での対応に不安を感じる方も少なくありません。


ここでは、買取業者に依頼するメリットや個人間売買との違いを見ていきましょう。


不動産買取業者に相談するメリット

借地権の売却を不動産買取業者に依頼すると、スピーディーで確実な現金化、リフォームや補修をせずに現状のままで引き渡しが可能といったメリットがあります。さらに、地主との交渉なども任せることができます。


ただし、すべての不動産会社が借地権買取に強いわけではないことに注意が必要です。権利関係が難しい不動産の買取は、不動産会社にとってもノウハウや技術が必要であり、地主との交渉が大変なことを理由に、買い取りを断ったり、安い査定価格しか出さない業者もあります。


そのため、借地権の売却は、実績の多い会社を選びましょう。たとえば、オープンハウスは、借地権の買取にも豊富な実績があります。借地に関する相談が初めてという方も、一度問い合わせてみると具体的な進め方が見えてくるかもしれません。


個人間売買との違いと安全性の確保

借地権を売却する方法の一つに、個人で買い手を探すという選択肢があります。しかし、契約条件や手続きに関する知識が求められ、トラブルが起きた際も自己責任で対応しなければなりません。


とくに借地権は、地主の承諾や譲渡承諾料などの条件が絡むため、通常の売買よりも手続きが複雑です。その結果、交渉がまとまらないケースもあります。


一方で、買取業者を通じた売却であれば、必要な交渉や手続きを一任でき、契約ミスや漏れのリスクを抑えられます。

借地上の建物と借地権を売却する主な方法

借地上の建物と借地権を売却する際には、いくつかの方法があります。たとえば、地主に買い取ってもらう方法や、第三者に譲渡する方法、不動産会社による直接買取などです。


どの方法を選ぶかは、借地の条件やご自身の事情によって異なります。


地主に買い取ってもらう

建物ごと地主に売却するケースもありますが、関係性や経済的な事情によっては応じてもらえないこともあります。地主への売却については、契約条件や対応の傾向を含めて事前に把握しておくことが大切です。


売買仲介で第三者に売却する

不動産会社を通じて第三者に譲渡する方法もありますが、借地権の制約により売却が難航することもあります。特に買い手が一般消費者の場合、条件交渉や承諾手続きで手間取る可能性もあります。


不動産会社の直接買取

専門業者による直接買取は、借地権の売却手段として最も確実性が高い方法の一つです。交渉や手続きを任せられるため、スムーズな売却を希望する方に向いています。

借地権の売却手続き

土地に付いている借地権を売却するには、一般的な不動産とは異なる手順や確認事項があります。特に、地主の承諾契約内容の確認など、あらかじめ整理しておきたいポイントが多く、全体の流れを把握しておくことが大切です。


ここでは、売却を進めるうえでの基本的な手続きの流れを、ステップごとにわかりやすくご紹介します。


Step1:借地権に詳しい不動産会社に相談する

借地権の売却を検討し始めたら、まずは借地の取引に実績のある不動産会社や買取業者に相談することが大切です。


借地権には法的な制約や地主との調整が必要となるため、経験のある担当者に任せることで、手続きをスムーズに進めやすくなります。


Step2:借地権と建物の査定を受ける

相談が終わったら、借地権とその上にある建物について査定を受ける流れになります。査定では、土地の立地や面積、借地契約の条件、建物の築年数や状態などが総合的に評価されます。


借地契約の内容によっては、譲渡承諾料の有無や契約期間の残りも価格に影響するため、契約書などの関連書類は正確に提出することが重要です。


Step3:地主に売却の意向を伝える

査定結果をもとに売却を進めることを決めたら、地主に売却の意向を伝える必要があります。借地権の譲渡には地主の承諾が求められるため、ここでのやり取りがその後の手続きの進み方に大きく影響します。


この段階では、「売却したい」という意思だけでなく、売却先や大まかな条件についても説明できるよう準備しておくとスムーズです。


Step4:譲渡承諾を得て売却契約を進める

地主に売却の意向を伝えたあとは、譲渡について正式な承諾を得る手続きに進みます。承諾は通常、書面で交わされ、その際に譲渡承諾料や名義書換料が発生することがあります。


地主の承諾が得られれば、売買契約の締結へと進むことができます。


Step5:契約締結と物件の引き渡し

地主の承諾が得られたあとは、売主と買主の間で正式に売買契約を結びます。


契約書には物件の内容や売買価格、引き渡しの条件などが記載され、双方が内容を確認したうえで署名・押印を行います。


契約締結後は、決められた期日に代金の支払いと物件の引き渡しが行われます。

借地権の売却に関するよくある質問

土地に付いている借地権の売却を検討している方の中には、「借地権だけを売却できるのか」「地主が反対した場合はどうなるのか」など、具体的な疑問を抱えている方も少なくありません。


ここでは、借地権の売却に関する質問と、その回答を紹介します。


借地権だけを売却することはできますか?

はい、借地権だけを売却することは可能です。土地の所有権は地主が持っていますが、借地権は「土地を使う権利」として財産的な価値があり、第三者への譲渡も認められています。


ただし、譲渡には地主の承諾が必要で、譲渡承諾料や名義書換料が発生することがあります。


地主が承諾してくれない場合、売却は不可能ですか?

地主の承諾が得られない場合、原則として借地権の売却は進められません。民法第612条では、借地権の譲渡には地主の承諾が必要と定められており、無断での売却は契約無効やトラブルの原因になる可能性があります。


ただし、どうしても承諾が得られない場合には、「承諾に代わる許可」を裁判所に申立てるという方法もあります。地主による不合理な拒否があると判断されれば、裁判所が許可を出すケースもあります。


借地権の売却にはどのくらい時間がかかりますか?

借地権の売却にかかる期間は条件によって大きく異なります。たとえば、地主の承諾取得に時間を要したり、名義書換料の調整や建物の確認に手間取ることで、手続きが長引くケースもあります。


また、個人間売買や仲介による売却では、買い手探しに時間がかかり、半年以上かかることも少なくありません。


一方、不動産買取業者に依頼すれば、必要な交渉や手続きをまとめて進めてもらえるため、比較的短期間で売却できる可能性があります


借地人が底地を買い取ることはできますか?

はい、条件が合えば借地人が底地を買い取ることは可能です。


そもそも「底地」とは、建物の所有者とは別の人(地主)が持っている土地そのものの所有権を指します。借地人は建物を所有し、その土地を借りて使用している状態ですが、底地を買い取れば土地・建物の両方を自分の所有にまとめることができます。


借地権付き住宅の売却で税金はかかりますか?

はい、借地権付き住宅を売却した場合でも、譲渡所得が発生すれば税金がかかることがあります。土地の所有権がなくても、建物や借地権に財産的な価値があるため、課税対象となります。


課税されるのは、売却によって得た利益(譲渡所得)です。取得費や譲渡費用を差し引いた額に応じて、所得税と住民税が発生する可能性があります。

借地権の売却で迷ったら、まずは買取業者に相談を

不動産会社に不動産買取を依頼すると、スピーディーで確実な現金化、リフォームや補修をせずに現状のままで引き渡しが可能、といったメリットに加えて、地主との交渉なども任せることができます。


ただし、すべての不動産会社が借地権買取に強いわけではないことに注意が必要です。


権利関係が難しい不動産の買取は、不動産会社にとってもノウハウや技術が必要です。地主との交渉が大変なことを理由に、買い取りを断ったり、安い査定価格しか出さない業者もあります。

借地権の売却は、実績の多い会社を選びましょう。オープンハウスは、借地権の買取の実績も豊富なので、一度問合せてみてはいかがでしょうか。

須藤光輝

記事監修

須藤 光輝

宅地建物取引士 応用情報技術者

福島県出身。慶応義塾大学理工学部を卒業後、2014年に中途でオープンハウスに入社。
営業推進部門の立ち上げ、戸建事業の経営計画策定、仕入契約条件の標準化、DXを推進。
買取再販部門の立ち上げ、個人から直接用地仕入を行うためのスキーム確立。
契約管理部門の立ち上げ、事業標準化と生産効率の向上。
事業管理部門の立ち上げ、品質・安全性・顧客満足向上と取り組んできた業務は多岐にわたる。
現在は、他社に先行し実家じまい・家じまいのセミナー講師を務める傍ら、戸建賃貸ファンド・アパート事業の責任者をしている。
趣味は考古学、子どもと一緒にパズルを作ること。

福島県出身。慶応義塾大学理工学部を卒業後、2014年に中途でオープンハウスに入社。
営業推進部門の立ち上げ、戸建事業の経営計画策定、仕入契約条件の標準化、DXを推進。
買取再販部門の立ち上げ、個人から直接用地仕入を行うためのスキーム確立。
契約管理部門の立ち上げ、事業標準化と生産効率の向上。
事業管理部門の立ち上げ、品質・安全性・顧客満足向上と取り組んできた業務は多岐にわたる。
現在は、他社に先行し実家じまい・家じまいのセミナー講師を務める傍ら、戸建賃貸ファンド・アパート事業の責任者をしている。
趣味は考古学、子どもと一緒にパズルを作ること。

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