古家付きの土地は、「解体して更地にすべきか」「そのまま売れるのか」など判断に迷いやすい物件です。買取であればそのまま売却できることも多く、手間をかけずに進められる可能性もあります。本記事では、売却の流れや注意点をわかりやすく紹介します。

古家付き土地の売却にはどんな方法がある?
古家付き土地を売却する際には、主に「買取」と「仲介」の2つの方法があります。それぞれにメリット・デメリットがあり、状況や希望条件に応じて適切な選択が求められます。
まずは、それぞれの特徴を確認しておきましょう。
不動産会社に直接買取してもらう場合の特徴
不動産会社が直接買い取る方法は、スピーディーに売却したい方に向いています。買主を探す手間がなく、古家がそのままの状態でも対応してもらえるケースが多いため、時間や労力をかけずに進められるのが特徴です。
仲介で売却する場合の特徴
仲介による売却は、買主が見つかるまで時間がかかるものの、売却価格を重視したい方に適した方法です。ただし、古家付きの土地は一般の個人には敬遠されやすく、仲介では買い手が見つかりにくいケースもあります。
こうした場合は、スムーズに売却できる買取のほうがおすすめです。
古家付き土地とは?その特徴と価値の捉え方
「古家付き土地」は、見た目ではわかりにくい複雑な要素を含んだ不動産です。まずは定義や特徴、価値の考え方を整理しておくことで、売却や買取を進める際の判断がしやすくなります。
古家付き土地の定義と代表的な特徴
「古家付きの土地」というのは、築年数が古く、経済的価値のない古い家が建っている状態の土地を指します。「古屋付土地」「廃屋付土地」「上物付土地」とも呼ばれます。
その多くは空き家になっており、長期間にわたって手入れされていないケースも見受けられます。建物が老朽化していることで、土地の価値評価や利用計画に影響することもあります。
古い家については「古い家を売るには?方法・流れ・税金・注意点をわかりやすく解説」にて詳しく解説しているので、ぜひご覧ください。
古家に資産価値はある?
建っている建物が、一般的に人が住める状態であれば中古戸建てとしての価値があります。
一方で、古家の多くは築年数が経過し、老朽化によって安全性や快適性に問題があることが少なくありません。減価償却期間を過ぎ、法的に価値がない古家については、建物としての評価はほぼゼロとされるケースもあります。
ただし、古家付き土地は不動産会社からの需要は高く、再販売を目的とした買取は活発に行われています。建物に価値がなくても、土地に利用価値があれば、スムーズな売却につながります。
古家付き土地が売却しにくい主な理由
古家付き土地は、一般的な宅地と比べて買い手がつきにくい傾向があります。建物の老朽化や活用方法の難しさなど、いくつかの要因が重なっています。
また、現在その古家に誰も住んでおらず、空き家になっているケースが多いため、経年劣化や住宅としての機能が欠損していることも少なくありません。そのため、資産としての取り扱いが難しい物件です。
さらに、解体費用の負担や、土地としての利用に制限がある場合も、買主にとってはリスク要因となります。購入後すぐに活用できる状態でないことが多いため、一般の個人よりも不動産会社などの専門業者による買取が現実的な選択肢となるケースが増えています。
古家付き土地は更地と現況、どちらで売るべきか?
古家付き土地を売却する際は、建物を残したまま売るか、それとも解体して更地にするかを検討する必要があります。どちらを選ぶかによって、売却価格や買い手の反応、費用負担などが変わってくるため、それぞれの違いを把握しておくことが大切です。
古家を解体して更地で売却するメリット・デメリット
住宅が建てられていた土地は、既に住宅用地として地盤改良が行われ、電気・ガス・水道といったライフラインが整備されていれば、宅地として需要があります。
そのため、古家を解体して更地にしたうえで売却を選ぶケースは多くあります。
メリット
売主があらかじめ解体しておくことで、買い手側に解体費用負担がなく、土地の広さや形状もわかりやすいため、高い価格で売れる可能性があります。
デメリット
一方で、当然ながら古家の解体には費用が発生します。
解体費用は建物の構造や規模、建物内に残った家財などの処分も含めて変動し、一般的には、木造住宅で1坪3万円、鉄骨住宅で1坪4~5万円、RC住宅で1坪5~6万円が目安とされています。さらに、解体後には整地が必要になる場合もあり、追加費用がかかることもあります。
加えて、土地の上に建物がない更地は、減免制度が適用されず、固定資産税が6倍に上がってしまいます。古家付き土地が、好立地で周辺環境が良く需要が高い場合は、更地での売却も検討できますが、長期間売却できなければ税負担も発生することに注意しましょう。
古家を現況のままで売却するメリット・デメリット
古家付きのまま土地を売却する方法は、解体や整地の手間がかからず、自己負担額を抑えたい方に向いています。特に、建物を残したままで買い手が見つかれば、売主側としては非常に効率的な手続きで進めることができます。
メリット
古家付きのまま売却することができれば、当然解体費用は発生しません。また、固定資産税も上がらないため、長期間売れなくても税負担は少なく済みます。
デメリット
一方で、古家付き土地を購入する人は、古家をそのまま利用することは少ないため、買い手側に解体費用を負担させることが前提になります。そのため、市場価格よりも安い価格で売却するケースが多いです。
さらに、解体費や整地費用が不透明なため、購入を敬遠されてしまうことや、整備費用分としてさらなる値引きを要求される可能性もあります。もうひとつ注意したい点として、契約不適合責任が発生する可能性もあります。
「契約不適合責任」とは、売主すらも知らなかった建物の欠陥や不具合(隠れた瑕疵)が発生した場合に、売主が責任を取らなければならないルールです。代表的なものとして雨漏りやシロアリ被害といったものが上げられます。
とくに古家付き土地では、建物が空き家になっていることが多く、建物の現状を把握できずに売却し、後々になって損害賠償を請求されることもあります。瑕疵についての取り扱いは、契約書面で「引き渡しから3カ月」のように期限を設けるか、「(契約不適合責任)免責」としておくなど、売買の際は注意が必要です。
古家付き土地を売却する手続きと流れ
古家付き土地を売却するには、通常の土地や建物の売買よりも確認すべき点が多く、段階的な手続きが必要になります。各ステップをしっかり押さえておくことで、トラブルを防ぎながらスムーズに売却を進めることができます。
Step1:古家の状態と土地の利用状況を確認する
売却を検討する際は、建物と土地の現況をざっくり確認しておくことが大切です。古家の老朽化の具合や補修のしやすさ、解体の必要がありそうかどうかなど、ひと通り見ておくと安心です。空き家が長く放置されていた場合は、雨漏りや害虫被害などが出ていないかも確認しておきましょう。
土地についても、どんな場所にあり、周辺環境がどうかといった基本的な点を押さえておくと安心です。たとえば、道路に面しているか、住宅が建てられるエリアかどうかなどを把握しておくと、売却の見通しが立てやすくなります。
Step2:権利関係・登記情報をチェックする
土地や建物を売却するには、権利関係が明確であることが前提です。登記簿謄本で所有者名義が現在と一致しているか、共有者の有無や抵当権の設定などをあらかじめ確認しておきましょう。
相続登記がされておらず、所有者の名前が登記上に反映されていないケースもあります。そのままでは手続きが進められないため、登記内容を整理しておくことが重要です。
Step3:不動産会社に査定を依頼
建物や土地の状態が整理できたら、不動産会社に査定を依頼します。古家付き土地は、更地か現況かで査定額が変わることがあるため、状況を伝えておきましょう。
現況のまま買取できるか、解体したほうが良いのかなど、具体的な提案も受けやすくなります。
Step4:売却方法を決定する
査定内容を踏まえて、売却方法を決めましょう。古家付き土地では、不動産会社による「買取」と、買主を探す「仲介」が主な選択肢です。
古家が老朽化している場合や早く売却したいときは、買取が向いています。現況のままでも対応してもらえることが多く、手間をかけずに進められます。
一方、できるだけ高く売りたい場合は、仲介も検討対象です。ただし、買主が見つかるまでに時間がかかるほか、内見や条件交渉の対応も必要になります。
Step5:買主と売買契約を結ぶ
売却方法と相手が決まったら、売買契約を結びます。契約書には、物件情報や売買価格、引き渡し日、支払い条件のほか、特約事項や契約不適合責任についての取り決めも含まれます。
古家付き土地は建物に不具合が残っていることもあるため、契約内容は慎重に確認しておきましょう。
Step6:引き渡し・登記手続き・代金受領で売却完了
売買契約を結んだ後は、契約内容に沿って物件の引き渡しを行い、所有権移転登記を進めます。登記手続きは司法書士が対応するのが一般的で、買主と売主がともに立ち会って行われることもあります。
引き渡しと同時に、売買代金の支払いも行われます。残代金の支払いと同時に鍵や関係書類を引き渡し、売却手続きが完了します。
Step7:確定申告をする
古家付き土地を売却して利益(譲渡所得)が出た場合は、翌年に確定申告が必要です。譲渡所得税や住民税がかかるため、忘れずに手続きしましょう。
申告には売買契約書や登記関係の書類、取得費・譲渡費用の領収書などが必要です。
古家付き土地の売却にかかる主な税金
古家付き土地を売却すると、利益の有無にかかわらずいくつかの税金が発生する可能性があります。ここでは、代表的な税金について簡単に整理しておきましょう。
譲渡所得税
土地や建物を売って得た利益には、譲渡所得税がかかります。保有期間が5年以下の「短期譲渡所得」は税率が高く、5年を超える「長期譲渡所得」は軽減されます。利益が出なければ課税されません。
住民税
譲渡所得が発生した場合は、住民税も合わせて課税されます。税率は原則として一律で、確定申告の際に自動的に計算されるため、別途の手続きは不要です。
特別復興所得税
東日本大震災の復興財源として導入された税金で、譲渡所得税の2.1%が上乗せされます。現在も適用されており、申告時にあわせて納税が必要です。
印紙税
売買契約書を作成する際は、印紙を貼付する必要があります。税額は契約金額に応じて異なり、数千円〜数万円程度が一般的です。
登録免許税
所有権移転登記を行う際に課される税金です。通常は買主が負担しますが、取引の内容によっては売主側で対応することもあります。
古家付き土地を売却する際の注意点
古家付き土地の売却は、建物の状態や契約条件によってトラブルが起きやすい取引です。後悔しないためにも、事前に押さえておきたい注意点を確認しておきましょう。
リフォームや解体は急がずに、買取業者に相談する
古家を解体するか残すかの判断は、立地や需要によって変わります。自分で判断せず、まずは買取業者に現況のまま査定を依頼し、最適な売却方法を検討するのが安心です。
契約不適合責任を回避するための対策をとる
古家付き土地では、建物の欠陥について責任を問われるリスクがあります。契約書で責任範囲を明確にし、必要に応じて「契約不適合責任の免責」を設定することでトラブルを防げます。
3,000万円特別控除が適用される期間内に売却する
居住用財産の売却に該当する場合、譲渡所得から最大3,000万円を控除できる制度があります。対象になるかどうかは条件があるため、早めに確認し、適用可能な期間内での売却を検討しましょう。
古家付き土地の売却は不動産買取がおすすめ
古家付き物件の売却は、不動産会社が直接その土地を買い取る「不動産買取」がおすすめです。
不動産買取は、売却に時間と手間がかからない
立地が良く人気エリアの古家付き土地は、更地かそのままで売るかに関係なく、すぐに売れるでしょう。また、近年人気のある古民家のような魅力がある物件であれば、立地が悪くても、そのままの状態でも売れるケースもあります。
しかし、古家付き土地の多くは需要が低く手付かずの状態で放置されています。更地にしたとしても買い手が見つからない可能性が高く、躊躇したまま固定資産税を払い続けているケースも少なくありません。
そういった古家付き土地は、不動産会社が直接買い取る「不動産買取」がおすすめです。
不動産買取なら、短期間で売却することができます。オープンハウスの不動産買取なら、最短48時間で現金化が可能です。また、古家内に家財など残置物があった場合でも、そのまま買い取ることもできます。
時間をかけずに手間をかけずに古家付き土地を売却したいのであれば、不動産買取を依頼してみましょう。
古家付き土地の売却に関するよくある質問
古家付き土地を売却しようと考えたとき、費用の負担や書類の不備など、具体的な疑問を感じる方も多いのではないでしょうか。ここでは、よくある質問を取り上げて、わかりやすくお答えします。
解体費用は売主と買主のどちらが負担するのですか?
原則として、売主が解体して更地にしてから売却する場合は、解体費用は売主の負担となります。一方、古家付きのままで売却し、買主が購入後に解体を行う場合は、買主が解体費用を負担することになります。
どちらが負担するかは、事前に不動産会社や買主と条件をすり合わせておくことが大切です。
古家付き土地の取得費がわからない時はどうしたらいいですか?
取得時の契約書や領収書が手元にない場合でも、売却は可能です。このようなときは、売却額の5%を「概算取得費」として計算する方法が使えます。
ただし、実際の取得費がそれ以上だった場合でも差額を考慮できないため、結果的に課税される譲渡所得が増えてしまいます。できるだけ古い書類を探して、正確な取得費がわかるよう努めましょう。
古家付きの土地はオープンハウスが買取ります
古家付きの土地を売却したいとお考えの方には、オープンハウスの不動産買取サービスがおすすめです。
オープンハウスでは、新築戸建ての建築を前提とした買取を行っているため、売主側での解体や片づけ、リフォームなどの手間は一切不要です。古家に残された家財などがあっても、そのままの状態で買取が可能です。
また、オープンハウスが買主となるため、契約不適合責任を免責とする契約もご相談いただけます。建物の劣化や瑕疵に不安がある方でも、安心して売却を進めていただけます。
さらに、スピーディーな対応も大きな特長です。買取価格は最短で24時間以内にご提示可能で、条件が合えば最短48時間以内での現金化も可能です。
「できるだけ早く売却したい」「費用をかけずに手放したい」「古家の状態が気になる」といった方は、ぜひ一度オープンハウスへご相談ください。

記事監修
須藤 光輝
宅地建物取引士 応用情報技術者
福島県出身。慶応義塾大学理工学部を卒業後、2014年に中途でオープンハウスに入社。
営業推進部門の立ち上げ、戸建事業の経営計画策定、仕入契約条件の標準化、DXを推進。
買取再販部門の立ち上げ、個人から直接用地仕入を行うためのスキーム確立。
契約管理部門の立ち上げ、事業標準化と生産効率の向上。
事業管理部門の立ち上げ、品質・安全性・顧客満足向上と取り組んできた業務は多岐にわたる。
現在は、他社に先行し実家じまい・家じまいのセミナー講師を務める傍ら、戸建賃貸ファンド・アパート事業の責任者をしている。
趣味は考古学、子どもと一緒にパズルを作ること。
福島県出身。慶応義塾大学理工学部を卒業後、2014年に中途でオープンハウスに入社。
営業推進部門の立ち上げ、戸建事業の経営計画策定、仕入契約条件の標準化、DXを推進。
買取再販部門の立ち上げ、個人から直接用地仕入を行うためのスキーム確立。
契約管理部門の立ち上げ、事業標準化と生産効率の向上。
事業管理部門の立ち上げ、品質・安全性・顧客満足向上と取り組んできた業務は多岐にわたる。
現在は、他社に先行し実家じまい・家じまいのセミナー講師を務める傍ら、戸建賃貸ファンド・アパート事業の責任者をしている。
趣味は考古学、子どもと一緒にパズルを作ること。