不動産の査定依頼を行うと、不動産査定書が作成されます。
査定書は、簡易的なものから10数ページにも及ぶ本格的なものまで、不動産事業者ごとにも特徴があるものです。どこに注目をすれば、査定額が適切か判断できるのでしょうか。

不動産査定書の見方とチェックポイント
まずは、不動産査定書がどのようにして作られるのかみていきます。
査定に必要な条件
不動産事業者が査定を行う場合に、必ず調査する内容があります。
- 所在地
- 最寄り駅
- 地目
- 都市計画
- 用途地域(防火・準防火地域含む)
- 建蔽率・容積率
- 面積
- 現況その他(管理状況や字形、水道管や下水管の敷設状況など査定に影響を与える条件)
- 公示価格等(路線価・固定資産産評価額など)
- 近隣成約事例
- 近隣販売件数や価格帯
ここにあげた項目は「不動産査定」を行う際に、業者が調査を行うべき最低限の項目です。通常は、これらの条件を総合的に勘案し査定を行います。
査定書に記載されている項目が、上記の項目と比較して少ない場合には、その査定価格について確認した方が良いでしょう。
土地査定書で最も注目するべき箇所は
土地査定書について一番見やすい位置に、比較的大きく記載されるのが査定価格です。査定書である以上、注目するポイントはこれにつきます。ただし、売却を仲介してもらう場合は、査定額はあくまで売り出しの提案額です。提案された金額で売りに出すかどうかは、説明を聞き、納得してからで構いません。
査定書の添付書類とは、査定額の根拠を示す書類です。不動産事業者が言う「われわれは、この価格で査定しました。なぜなら…」の「なぜなら」の部分に該当します。
この添付書類の枚数や業者が独自に制作したQ&A冊子などが充実していれば、査定書の枚数は増加します。
また、査定額は2,800万円~3,100万円と言った“幅”を持たせることも一般的です。
査定地の評点とは?
土地査定は業者が現地調査や書類調査を行い、総合的に勘案して査定額を決定します。査定書の形式は業者により異なりますが、査定方法については大半の業者が「事例比較法」を採用しています。
「事例比較法」では、査定地の条件に似た事例(事例地)を選び、項目ごとに比較評価を行い算出します。この算出された点数を「評点」と言います。
ここでは具体的に「評点」がどのように使用されるかを解説します。
評点の判定方法について
「評点」の判定方法について具体的な項目や判定方法を、順を追ってご説明します。
- 1. 査定地に対して、大きさ、エリアなどが最も似ている事例地を定めます。(複数の事例が存在する場合には、複数の事例地を根拠とする場合もあります)
- 2. 査定地と事例地を、判定条件ごとに対比させ「評点」を行います。評点する判定項目は査定業者によって異なりますが、ここでは最低限、必ず評点する項目を説明します。
-
- 交通の便(駅・バス停など最寄り交通機関までの距離)
- 近隣状況(日常、必要とされるスーパーなどの距離)
- 環境(騒音振動・日照採光・眺望や景観など)
- 街路状況(排水施設・ガス施設などの引き込み状況)
- 画地状況(間口・奥行き・不整形など)
- その他の画地状況(旗竿地や崖地・法地など)
- 3. 上記の「評点」の各項目を、査定地と事例地それぞれ評点していきます。
-
例)
交通の便(駅・バス停など最寄り交通機関までの距離)の評点
査定地(6分)-4 事例地(2分)0
近隣状況(日常、必要とされるスーパーなどの距離)
査定地(8分)+7 事例地(15分)-7上記のように項目ごと、評点を行い加算・減算を行い最終的に査定地と事例地それぞれの評点の「和」を求めます。これが総合の「評点」とされます。
不動産事業者が評点を用いて、実際に査定書の説明を行う場合には、
「先週、成約になった近隣の事例地では評点の結果、評点108点で1,500万円での成約でした。今回、査定させていただいたお客様の土地は事例地と比較して評点は98点でした。今回は総合的な観点から成約予想額を1,300万円前後として査定額を算出させていただきました」と、なります。
評点による査定価格の計算方法と考え方
総合として得られた「評点」は、下記の査定計算式に用いられます。
事例地の単価(m2/円)×(査定地の評点÷事例地の評点)× 査定地のm2数 × 流動性比率
査定業者によりこの「評点」の数は異なります。項目数が多いほど、事例地に対する査定地の判定根拠が深まります。ただし、項目が増加するほど添付書類が増加しますので、不動産事業者としては手間が増えます。
「評点」項目が多ければ良いとまでは言いませんが、どれだけ誠実に査定に取り組んでいるか、目安の一つととることもできます。
土地の流動性比率(流通性比率)とは?
ここでは前項の査定計算に使われた「流動性比率」についてご説明します。
流動性比率とは
もともとは会計用語でもある「流動比率」から始まっています。「流動資産」を「流動負債」で割ったものが「流動比率」となり、貸借対照表に「流動資産」と「流動負債」と記載され、その比率から企業の短期的な安全性を判断するための指標とされています。
土地における「流動性比率」とは、この応用として市場における成約事例と比較して、どれだけ売れやすいかを数値としたものです。
宅地建物取引業法の規定で、査定書を作成して価格を説明する場合には、その根拠を示さなければならないとされています。
「事例地」や「評点」に加え、「流動性比率」を用いて査定計算を行うことにより、市場性流通性に優れた土地査定額を算出します。
流動性比率はどのように決定するの?
「流動性比率」は、本来であれば査定宅地が持つ「市場性流通性に優れた土地査定額を算出する」のが目的です。
しかし、実際には「流動性比率100%」と記載されていることが多いです。なぜなら、「流動性比率100%」以外を記載すると業者には説明責任が生じるからです。
説明を行うには、具体的な根拠の明示が必要とされます。
例えば、不動産事業者が口頭で「近隣では売り物件が数おおくあり、流動性比率を89%とさせていただきました」と言った場合、顧客は根拠の説明を求めることができます。具体的には次のような内容です。
「実際に近隣の売却物件はどのくらいあり、それぞれ評点事例はどのようになっているのか」
「何件の事例地と比較して89%と言う数字を算出したのか」
このような質問をした場合、本当に近隣の販売物件が数多くあり、それらの全てを事例地とするならば、業者の作業量は膨大になります。
誠実な業者であれば「流動性比率」の根拠を示す添付書類を準備し、あえて「流動性比率を89%」として説明に及ぶでしょう。
一般的な業者は無難な表現として「流動性比率を100%」と記載し、なかには根拠の明示もないまま「流動性比率を89%」として口頭で説明し丸め込もうとすることもあるといいます。
このように、土地の不動産査定において調整の数字として使用されているのが「流動性比率」です。流動性比率は、逆に査定業者の信頼レベルを図るための指標として見るのが良いかも知れません。
不動産を売却するならオープンハウスが買取ります
オープンハウスは、売れなくて困っている土地、いびつな土地や古い建物が建ったままの土地でも、積極的に買い取ります。
電話やネットからお問い合わせいただければ、経験を積んだ専門のスタッフが買い取り価格を素早く算出し、24時間以内にお知らせします。価格に納得頂ければ最短48時間で現金化も可能です。


商談が未成立でも相談料等は発生しません。お気軽にお問い合わせください。