土地査定の基準とは?自分で調べて計算する方法を解説

土地査定の基準とは?
自分で調べて計算する方法を解説

自分が所有する土地の価格を知りたい場合には、一般的に不動産事業者に査定を依頼することが多いでしょう。
しかし「おおよその値段を知りたいだけなのに、不動産事業者に連絡をした結果、『売却してくれる』と期待を持たせるのは避けたい」という意見もあるでしょう。

今回は土地価格を自分で調べる方法を解説します。ある程度の価格を自分で把握しておけば、不動産事業者に査定を依頼した際にも、査定書の内容が理解しやすくなります。

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土地の査定方法と基準

まず不動産事業者が土地査定を行う場合、どのような調査をするのかをご説明します。

土地を査定するうえでの調査項目

  • 場所に関する調査(所在地・最寄り駅)
  • 土地の用途に関する調査(面積・地目・都市計画・用途地域)
  • 建築をする際に必要な調査(建ぺい率・容積率・字形や水道や下水管・ガス管の敷設、電気引き込み状況など)
  • 公的価格(公示価格・路線価・固定資産産評価額)
  • 近隣成約事例
  • 近隣の物件の価格帯

不動産事業者は上記の調査を最低限として行います。ほとんどがインターネットで調査することができます。一般の方が入手することができない情報は、5.近隣成約事例のみです。

また、地域によっては水道管や下水管の敷設状況の調査には、管轄の役所(上下水道課など)に出向かなければなりません。詳しくは後述します。

具体的な調査方法

1.場所に関する調査(所在地・最寄り駅)
ご自分の土地調査を前提としているため、所在地については割愛します。最寄り駅については、最も近い公共機関までの徒歩による距離を調査します。

バスなどを経由する場合には「○○バス停徒歩3分、バス乗車20分○○駅北口」となります。
※不動産表記では80m=1分として計算をします。

距離を調べる際は、Googleマップなどのルート検索を使用するのもおすすめです。
2.土地の用途に関する調査(面積・地目・都市計画・用途地域)
登記識別情報(権利証)もしくは登記簿をご覧いただければ、地目と面積はすぐに分かります。

都市計画や用途地域についてはインターネットの「都市計画情報サービス」を利用します。ただし「都市計画情報サービス」で情報公開していない市町村に関しては、都市計画課に連絡をして聞く必要があります。

土地の所在に関しては、登記簿などに記載されている地番と住居表示の2種類が存在するため、それぞれを調査します。ご自分での調査の場合には、住居表示だけで問題はありません。ただし、建物のない土地に関しては住所が割り当てされていないため、「○○市○○町○○番」までの調査で十分です。
3.建築をする際に必要な調査(建ぺい率・容積率・地形や水道管や下水管の敷設状況など)
建ぺい率・容積率は、用途地域によって決められています。

最初に、調査地の用途地域を調べます。具体的な調査方法としては前述したインターネットを利用して市町村のホームページで「都市計画情報サービス」や「地図情報サービス」がないかを検索します。該当するページで調査地の用途地域を調査すると、地図上に「80分の300」「60分の200」などの記号が」表記されています。この記号がそれぞれ建ぺい率と容積率を表します。

例えば「80分の300」と書かれていれば、建ぺい率80%と容積率300%という意味です。

建ぺい率とは、敷地面積に占める建築面積の割合です。例えば50坪の土地の場合には次のようになります。

50(坪)× 80% = 40(坪)

40坪まで、1階部分を建築できるということです。

容積率とは、敷地面積に対する延床面積の割合です。上記の土地の場合、次のようになります。

50(坪)× 300% = 150(坪)

敷地50坪の宅地に、1階部分も含めて2階・3階の総面積が、150坪まで建築できるということです。

土地査定では、これらを押さえておけば十分です。
ただし、実際の建築では、その他建築制限(高さ制限・日影規制など)などが関係し、建ぺい率・容積率どおりの大きさで建物が建築できるとは限りません。

地形とは、土地の形も含めて起伏状態、高台、斜面、氾濫低地などを意味します。ご自身で土地調査するなら、真上から見下ろした場合の土地の形が、単純に正方形・長方形・三角形・旗竿地などと分類しておきます。

水道や下水管・ガス管の敷設、電気引き込み状況は、それぞれ確認方法が違います。
水道や下水管の敷設は、市町村のホームページで「上下水道台帳情報サービス」がないかを確認します。公開されていない場合には電話で市町村に問い合わせをします。
ガス管の敷設状況は、管轄しているガス会社のホームページで「ガス本管管理状況確認サービス」が公開されていないか確認します。公開されていない場合には、同じく電話で問い合わせを行います。

電気は、調査地の近隣に電柱が建っているのを確認すれば問題はありません。 「下水道・ガス管」などを新規に引き込むには、相応の費用が発生します。業者の土地査定では「引き込みに費用に要する」という理由から、「評点」で減算をします。評点については後述します。
4.公的価格(公示価格・路線価・固定資産産評価額)
国土交通省のホームページにある「土地総合情報サービス」を利用して公示価格調査を行うことができます。路線価については国税庁ホームページで「路線価図・評価倍率表」を検索して調査できます。固定資産税評価は毎年送られてくる固定資産税納税通知書を確認して、「課税通知書」を見ると記載されています。
5.近隣成約事例
不動産事業者の多くは成約事例調査に、登録免許業者のみがアクセス権を持つ「レインズ」というシステムを使用します。これが、さきほど業者以外が成約事例を調べられないと説明をした理由です。
6.近隣の物件の価格帯
地域で取引を行っている不動産事業者を検索し、ホームページで近隣の売り土地情報を検索します。

土地査定における計算

前項の1~6を利用して査定地、事例地(査定をする土地と各条件が似ている土地)を「評点」により比較し、査定金額を計算できます。

調査の精度が高いほど、正確な土地価格が算出できます。不動産事業者であれば、上記以外の評点調査項目も調査して、より精度の高い査定額を導き出します。それでは、計算例をみていきます。

評点の方法

査定地にたいして大きさ、エリアなどが最も似ている事例地を定めます。

事例地については本来、販売されている土地ではなく「成約事例の土地」から選択を行います。「土地総合情報サービス(国土交通省)」で事例地の候補が見つからない場合には、近隣の販売物件を事例地とします。

事例地は「1.場所に関する調査(所在地・最寄り駅)」「2.土地の用途に関する調査(面積・地目・都市計画・用途地域)」の条件を重視して選定します。

事例地を定めたら、判定条件ごとに対比させ評点をつけます。

  • 交通の便(駅・バス停など最寄り交通機関までの距離)
  • 近隣状況(日常、必要とされるスーパーなどの距離)
  • 環境(騒音振動・日照採光・眺望や景観など)
  • 街路状況(排水施設・ガス施設などの引き込み状況)
  • 画地状況(間口・奥行き・不整形など)
  • その他の画地状況(旗竿地や崖地・法地など)

各項目を、査定地と事例地それぞれで評価していきます。

例)
環境(騒音振動・日照採光・眺望や景観など)
査定地(良)+2事例地  事例地(幹線道路近く騒音あり)-2

街路状況(排水施設・ガス施設などの引き込み状況)
査定地(排水施設無し・ガス管埋設あり)-2  事例地(排水施設・ガス管埋設あり)1
画地状況(間口・奥行き・不整形など)の「評点」
査定地(間口・奥行き・不整形)-1  事例地(間口・奥行き・不整形)0

このように、事例地と査定地を、項目ごと対比させて加算・減算を行い「評点の和」を求めます。

加算・減算の判定は主観的な要素が多く、不動産事業者によってもばらつきがあります。自分が所有する不動産の簡易査定においては、感覚的なもので構いません。
ただし、主観的と思える評価でも不動産事業者の場合には調査項目が細かく、様々な要素を加味しながら査定を行うので複数の業者に査定依頼しても、差が出にくくなることを覚えておきましょう。

土地査定計算式

得られた「評点の和」は、下記の査定計算式に用いられます。

事例地の単価(m2/円) × (査定地の評点 ÷ 事例地の評点) × 査定地のm2/数 × 流動性比率

「流動性比率」とは、それ以前の計算式で市場流動性を離れた金額が算出された時の調整率であり、数字の法則的な根拠はありません。言うなれば不動産事業者の経験則によって作られている数字です。「流動性比率」は豊富な経験則があってこその数字になりますので、自分で査定目安を計算する場合には割愛してもよい数字です。

一般的には不動産事業者が査定を行う場合には、査定額は10%以内の誤差です。つまり、極端に安くも高くもなりにくいものです。

不動産事業者の査定は、無料で依頼できます。自身で土地価格を調べることが難しいと感じたならば、気軽に相談することをおすすめします。

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