現役時代に購入した住宅ローンを、定年後も支払い続けるのは大きな経済的負担です。収入が減るにもかかわらず、毎月一定額を支払わなければならないためです。どうすれば、老後に残った住宅ローンを返済できるのでしょうか。
定年後にローンを返済できない4つの理由と、返済するための5つの方法を紹介します。
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定年後に住宅ローンを返済できない原因
住宅を購入するときには返済可能と考えていた住宅ローンが、なぜ老後に返済できないという事態に陥ってしまうのでしょうか。
老後に住宅ローンを返済できない、4つの理由にスポットをあてて解説します。
思うように繰り上げ返済できなかった
繰り上げ返済を思うようにできず、定年後の住宅ローン返済に窮することがあります。
繰り上げ返済とは、毎月の返済額と別に一定額を返済する方法です。繰り上げ返済の対象になるのは借り入れた元本です。元本が減ると返済総額が減るため、住宅ローン返済の負担を軽減できます。
繰り上げ返済には、2つのタイプがあります。
- 期間短縮型
- 返済額軽減型
期間短縮型は、毎月の返済額は同じままに借入期間を短縮する方法です。返済額軽減型は、返済期間は変えずに毎月の返済額を減らす方法です。
利息を減らす効果は期間短縮型のほうが高く、老後に負担を残さないという点ではメリットがあります。しかし、老後の蓄えにまわす余剰資金が減ってしまうため、返済のしすぎにも注意が必要です。
期間短縮型は利息軽減効果が低いものの、毎月の支払いを楽にするメリットがあります。引き換えに、返済が老後まで残ってしまうデメリットがあります。
どちらの方法をとったとしても、繰り上げ返済は経済的負担を軽減する効果があるため、現役時代に思うような繰り上げ返済ができなければ、老後も現役時代と同じ経済的負担を負わなければなりません。
高齢で完済する返済計画を組んでしまった
住宅ローンを完済する年齢を、高齢に設定した返済計画を組んでしまうと、定年後に返済に苦しむおそれがあります。
住宅ローンの代表格であるフラット35は、最長35年の全期間、金利が固定される住宅ローンです。完済年齢の上限が80歳になっているため、高齢で完済する計画も組めます。
しかし、退職後の収入を考えると、定年後も住宅ローンを返済する計画は要注意です。「令和4年分 民間給与実態統計調査」(国税庁)によると、正社員の平均給与は563万円なのに対し、70歳以上の平均年収は367万円です。
少なく見積もっても、現役時代の約65%の収入でやりくりしなければなりません。現役時代に支払えた住宅ローンも、高齢になると支払いが困難になるのです。
退職金が思ったほど得られなかった
退職金の金額は年々減少しています。厚生労働省が5年ごとに公表している「就労条件総合調査 退職給付(一時金・年金)の支給実態」によると、退職金が低下傾向にあることがうかがえます。
平成20年(2008年) | 2,280万円 |
平成25年(2013年) | 1,941万円 |
平成30年(2018年) | 1,788万円 |
令和5年(2023年) | 1,896万円 |
2008年以降、減少の一途をたどっていた退職金ですが、2023年は上昇しています。とはいっても、15年前よりも減少していることは間違いありません。企業がコスト削減を強く意識すればするほど、退職金がカットされる傾向が強まります。退職金をあてにしすぎた住宅ローン返済は、リスクが高いというべきでしょう。
突発的な支出が増えた
想定外の突発的支出も住宅ローン返済を狂わせる要因です。住宅ローンと並ぶ大きな支出である教育費、自分自身や家族の入院などによる医療費は突発的な支出の代表です。もちろん、教育費や医療費に備えて保険に入っている方もいます。それでも、支出が大きいとカバーしきれないかもしれず、老後の備えを十分にできないかもしれません。
定年後も住宅ローンを返済する方法
さまざまな理由で住宅ローンが老後に残ってしまった場合、どうやって返済すればよいのでしょうか。定年後に住宅ローンを返済する5つの方法をまとめます。
退職金を返済にあてる
年々減少しているとはいえ、退職金は個人がまとまったお金を手に入れるチャンスです。住宅ローンの残債を一気に支払う絶好の機会ともいえます。
先ほどのデータを見れば、約1,900万円の退職金が得られる計算です。退職金を住宅ローンの返済にあてると、かなり残債を減らせるでしょう。しかし、退職金は企業によって異なるため、退職金だけで残債をすべて支払えないおそれがあります。
支給された年金で返済する
年金で残債を支払う方法もあります。年金は2階建ての構造になっています。1階部分が全国民の加入する国民年金で、2階部分が国民年金に上乗せされる厚生年金です。国民年金の平均支給額は月額で約56,000円、厚生年金は約144,000円です。
とはいっても、年金の多くは生活費として使うため、ローン返済にまわす余力が残っていないかもしれません。仮に、毎月10万円のローンを組んでいた場合、年金の半分近くをローンの支払いにあてることになり、経済的にかなり苦しくなるでしょう。
退職後も再雇用で働く
退職後も再雇用で働き、住宅ローン返済をすることもできます。政府も、高齢者の再雇用を積極的に進めるよう、企業に促しています。しかし、再雇用には現役時代より給与が下がるという課題があります。
給与所得のピークは55歳〜59歳で546万円、再雇用が始まる60〜64歳は441万円、多くの企業が設定している65歳定年以降となる65〜69歳で342万円と所得が大きく減少します(国税庁:「令和4年分 民間給与実態統計調査」)。
所得が大きく減少しているのは、再雇用後の給与が現役時代よりも減っているからです。
生命保険の解約や資産の売却を行う
生命保険の解約や資産の売却で得た資金を使って、住宅ローンを返済する方法もあります。定年後は子育てが終わっているため、生命保険の保障内容の一部が過剰になっていることがあります。そうした保険を解約することで解約返戻金を得て、住宅ローンの返済にあてられます。
リバースモーゲージを検討する
リバースモーゲージとは、自宅を担保として金融機関などから資金を借り入れる仕組みです。住宅ローンの返済は、元金と利息を一緒に返済するのが一般的ですが、リバースモーゲージが認められると利息だけの支払いとなり、経済的負担が大きく減ります。
ただし、リバースモーゲージへの借り換えを認めるかどうかは金融機関次第です。物件の価値が低いとみなされると、借り換えが認められないため、リバースモーゲージを利用できません。
老後を豊かに生活するには売却がオススメ
ここまで、定年後に住宅ローンを返済する方法について解説してきました。どの方法を使っても、大きな負担となることは否めません。
老後の生活を豊かに過ごすことを重視するなら、住宅を売却するのも一つの方法です。売却のメリットを4点紹介します。
経済的な負担を軽減できる
住宅を売却すると、住宅ローンの支払いがストップします。住宅の売却額が残債を上回っていれば、売却することで住宅ローンの支払いが終わります。売却後は支払いに悩まされることがなくなるため、経済的負担と同時に精神的な負担を取り除けるでしょう。
住宅売却後も同じ家に住み続けたいのであれば、リースバックを利用して家賃を支払って住むことも可能です。
老後に適した住まいへ住み替えられる
年齢に適した住まいに移住する資金が得られるのも、住宅売却のメリットです。家を建てたころは気にならなかった段差も、年齢を重ねるときつくなってきます。売却した資金をもとに、バリアフリータイプのマンションなどに移り住めば、安心して生活できます。
資金に余裕があればシニア向け分譲マンションや、サービス付き高齢者向け住宅に移り住むこともできるでしょう。
相続が簡単になる
住宅の売却は、自分の死後に残される子どもや孫の相続を簡単にするメリットもあります。不動産は分割が難しいため、売却して現金化する必要があります。
場合によっては、スムーズな遺産相続の妨げとなったり、いわゆる「負動産」として子や孫の負担になったりします。生きているうちに住宅を売却してしまえば、相続の問題も発生しにくくなるのです。
老後資金を確保できる
住宅が高く売却できた場合、老後の資金として活用することもできます。先ほども述べたように、退職金が減少傾向にあることや、平均寿命が延びていることを考えると、今までよりも計画的な資金管理が必要となります。
住宅ローンの残債よりも高く売却できれば、そのお金を老後資金として活用できるのです。
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