住み替えのタイミングはとても重要。
賢い住み替えの手順を紹介

住み替えを検討している方は、いつ不動産を売却すべきか、また不動産会社に依頼すればいいのか、そしていつから新居を探し始めればよいのか。どのタイミングで何をすべきかについての疑問は尽きません。

今回は、賢く住み替えるために押さえておきたい、住み替えタイミングについて解説します。

住み替えの成否を分けるタイミングとは

住み替えの最適なタイミングを知ることは、住み替えをするうえで成否を分ける大切な要素です。タイミングを間違えると、余計な費用がかかったり、手間が増えてしまったりするからです。
では、最適な住み替えタイミングを見極めるためには、どんなところに気を付けるべきなのでしょうか。

賢い住み替えのタイミング

まずは、いつ頃、行動を起こすのがタイミングとしてベストなのか、2020年現在の市況を例に考え方をご紹介します。

住宅ローンを利用する際は、借入金額に対する金利が小さいほうが、最終的な出費を抑えることができます。近年は日銀のマイナス金利政策や銀行間の競争などの影響もあり、住宅ローン金利は低い水準で推移しています。そのため、住宅ローン金利の観点から、購入のタイミングとしては良い傾向にあるといえます。

一方で、2021年開催予定の東京オリンピック以降は、地価の下落が始まると考えられることが多くなっています。もし下落するのであれば、地価の観点では売却の傾向があると判断できます。

しかし、2020年の不動産市況は新型コロナウイルスの影響を受けることが予想されます。住宅ローンを販売する金融機関も大きな影響をうけるかもしれません、住み替えのために新しい住居の購入を考えるなら、経済情勢や市況を考慮にいれておきましょう。

失敗しない理想の住み替え手順

住み替えを進めるためには、どういった手順が最適なのでしょうか。

「現在、住んでいる不動産の売却」と「新居の購入」を同時に進めて、同日に決済を行い、引っ越しを行うのが理想です。売却と購入のタイミングがぴったり合えば手続きが一度に完結するため、無駄がないからです。

しかし、実際に同時進行で行うのは難しいものです。多くの人にとって不動産取引は一生に数度しかありません。そのため、強引に焦って決めてしまい、後悔することも少なくありません。

先に購入者が現れた場合は、引き渡し日までに急いで新居を探す必要が生じるため、新たに購入する物件の条件を妥協しがちです。
先に良い新居が見つかった場合は、売り急いでしまうため必要以上に値下げして売却しようとすることもあります。

このような失敗をしないために、入念な計画が大切になるのです。もう少し詳しくみていきましょう。

売り先行型と買い先行型のメリット・デメリット

家を買い替えるときは、まず自宅を売ってから新居を決める「売り先行型」と、新居の購入を決めてから自宅の売却をすすめる「買い先行型」があります。

ここでは、売り先行型と買い先行型、それぞれのメリット・デメリットをお伝えします。

売り先行型のメリット・デメリット

メリット	デメリット
資金計画が立てやすい 売却に時間が割くことができ、良い取引がしやすい	仮住まいが必要になり、新居決定まで家賃が発生する可能性がある

売り先行型のメリットは2つあります。

1つ目は、売却の利益をそのまま購入資金に充てることができるため、新居購入の資金計画を立てやすくなることです。家を売ったお金で、次の家を買うことを検討している方は多いと思います。

先に新居を決めたものの、今住んでいる不動産が想定より安い価格でしか売れなかった場合はそもそも住み替えができないという可能性もあります。売り先行型なら、売れた金額にそって新しい家を決めるため、購入資金に充てられる金額が明確になるという点は大きなメリットです。

2つ目のメリットは、売り急ぐ必要がないという点です。先に新居を購入済みで入居日まで決まっている場合、「この日までに自宅を売る」という明確なリミットがある為、不本意な値下げであっても妥協せざるをえません。
しかし、売り先行の場合は、明確な期日はありませんので、あなたの資産を納得のいく価格で売却できる可能性が高いです。

売り先行型のデメリットとしては、今住んでいる不動産の売却を先におこなう場合、売却物件の引渡し日までに新居を探す必要があることです。
そのため売却物件の引渡し日までに、新居が見つからない場合や、建築中などで転居ができない場合には、いったん仮住まいをする必要があります。

住み替え時の仮住まいに関してはこちらで詳しく紹介しています。
「住み替え時、仮住まいが必要なケースとは。かかる費用や住民票の手続きは？」

買い先行型のメリット・デメリット

メリット	デメリット
購入に時間が割くことができ、良い取引がしやすい	売却希望日がある場合、急いで売る必要があり安売りしやすい 二重ローンになる可能性がある

買い先行型のメリットとして、いつまでに新居を決めなければならないという制約がありません。そのため、納得がいくまで理想の新居を探すことができます。また、先に新居を購入できれば、現在の住まいからすぐに新居へ引っ越すことができるため、転居の手間が最小限で済みます。

買い先行型のデメリットとしては、今住んでいる不動産の売却資金を、新居の購入資金に充てる場合です。その場合、新居の決済日までに今住んでいる不動産の売却手続きを完了させる必要があるため、焦って安売りしてしまうことがあります。また、売却金額の確定が遅くなると、新居の資金計画に狂いが生じることがあります。さらに、今住んでいる不動産の売却資金を購入資金として充てない場合でも、売却をおこなう物件に住宅ローンの残債がある場合には、住宅ローンの支払いが二重になってしまい、苦しい支払いを続けなければならない可能性もあり得ます。

失敗しない住み替え手順は、「売り先行型」

買い替えの事情によって、適した住み替え手順がありますが、やはり、堅実で安心な方法は「売り先行型」です。

住み替え時期が決まっていない場合、売り先行型がおすすめ

「いつまでに引っ越ししたい」という明確な期限がない方であれば、売り先行型がよいでしょう。

売り先行型であれば、今住んでいる不動産の最高値での売却に集中できます。

売却が完了すれば、一旦仮住まいを利用することになりますが、その間に新居の選別にじっくりと時間をかけることができます。今住んでいる不動産がスムーズに売却できないなどの不安を感じている方であればなおさら、事前に売却する際の金額や、高く売れるタイミングを知っておくことが大切です。

住み替えの失敗をしない為にも賃貸でお試しを

売り先行型ならば、住み替え失敗を避けるために、新居をまずは賃貸で試してみるという方法もあります。

自宅を売却でき、新居も決まり、新しい生活がスタートという段階になって、「実は近隣の治安に不安がでてきた」とか、「周辺施設が少なく、生活するうえで不便」というエリア特有の問題がわかることがあります。

実際に住んでみないと、その土地についてわからないことがあるのも事実です。一度、賃貸で仮住まいをしていれば、その町の雰囲気や近隣住民の方のライフスタイルもわかってきます。家賃はかかってしまいますが、できる限り慎重に新居を選び、ベストだと思えるエリアを見極められれば決して無駄な出費ではないでしょう。