公開日:2025年06月26日
故人名義の土地を売却するには?名義変更から手続き・税金まで徹底解説

故人名義の土地を売却するには?名義変更から手続き・税金まで徹底解説

故人名義の土地を売却したいと思っても、名義が故人のままでは手続きを進めることができません。売却には相続登記をはじめとした名義変更や、各種書類の準備が必要です。また、土地の状況や売却方法によっては、注意しておきたいポイントもあります。この記事では、故人名義の土地を売却するための流れや必要な対応について、順を追ってわかりやすく解説します。

オープンハウスの買取事例

故人名義の土地は売却できる?

相続した土地でも、名義が故人のままでは売却の手続きに進むことはできません。不動産の売却には、まず名義を相続人に変更しておく必要があります。


相続不動産の売却については「相続した不動産を売却する時の手続きの流れや税金・控除・注意点を徹底解説」にて詳しく解説しているので、ぜひご覧ください。


名義変更をすれば売却可能

故人名義のままでは、その土地を売却することはできません。故人名義の土地を売却したい場合、土地の名義を故人から自分に変更する必要があります。


この名義変更を「相続登記」と言います。相続登記が完了すれば、土地の売却に向けた具体的な手続きに進むことができます。


不動産の売却には相続登記での名義変更が重要

不動産の売買では、所有者情報が登記簿に正しく記載されていることが前提となります。相続登記が済んでいないと、登記簿上の所有者が故人のままとなり、売却後の所有権移転登記が行えません。


また、相続登記は2024年から義務化されており、放置すると過料が科される可能性もあります。将来的に相続人が増え、権利関係が複雑化するリスクもあるため、こうしたリスクを避けるためにも、相続登記は早めに対応しておくことが大切です。

故人名義の土地を名義変更するメリット

相続した土地の名義をそのままにしているケースは少なくありませんが、名義を相続人に変更することで、売却や活用の自由度が高まり、今後の手続きもスムーズに進めやすくなります。ここでは、相続登記による主なメリットを紹介します。


活用の自由度が広がる

名義が故人のままでは、法的に所有者が確定していない状態のため、賃貸にだすといった活用はできません。相続登記によって名義を変更すれば、自分の名義で自由に扱えるようになります。


売却だけでなく、将来の活用を考える際にも、相続登記によって選択肢が広がります。


相続財産としての整理がスムーズになる

土地の名義を早めに相続人に変更しておくと、次の相続や分配がスムーズに進みます。名義が故人のままだと、次の世代で関係者が増えてしまい、手続きが複雑になるおそれがあります。


相続登記を済ませておくことで、将来的な負担を減らすことにつながります。

故人名義の土地を名義変更しないデメリット

相続登記を後回しにしていると、名義が故人のままの状態が続き、将来の手続きが複雑になるおそれがあります。また、相続登記を怠ることで、罰則過料の対象になる可能性もあるため注意が必要です。


ここでは、名義を変更しないことによる主なデメリットを整理しておきましょう。


相続登記の義務化により過料が発生する可能性

2024年4月から、相続によって不動産を取得した場合は、3年以内に相続登記を申請することが義務化されました。正当な理由がないまま期限を過ぎると、10万円以下の過料が科される可能性があります。


以前は名義が故人のままでも罰則はありませんでしたが、制度改正によって早めの対応が必要になりました。すぐに売却しない場合でも、相続登記は後回しにせず済ませておくことが重要です。


将来的な相続や名義変更がより複雑になる

名義を故人のままにしておくと、その土地が次の世代へと相続されたときに、関係する相続人の数が増え、話し合いや手続きが格段に複雑になります。たとえば、当初は兄弟だけだった相続人が、時間の経過とともに子や孫に広がり、関係者が10人以上に増えることもあります。


こうなると、全員の同意を得なければ売却できない状況になり、登記や分割協議に多くの時間と労力がかかります。早い段階で相続登記を済ませておけば、こうした将来的な負担を回避することができます。

故人名義の土地を売却する方法

相続登記によって名義変更が完了すれば、自由に売却に動けます。売却方法にはいくつかの選択肢があり、それぞれ特徴メリットが異なります。スムーズに現金化したい場合や、できるだけ高く売りたい場合など、目的に応じて適した方法を選ぶことが大切です。


ここでは、代表的な売却手段を紹介します。


買取業者に依頼して売却する

土地を早く売却したい場合や、手続きの手間を減らしたい場合は、不動産の買取業者に依頼する方法があります。


買取は不動産会社が直接買い取るため、買主探しや内覧対応が不要で、契約までの期間も短く済むのが特徴です。古家付きや境界があいまいな土地でも柔軟に対応してもらえるケースがあり、仲介よりもスムーズに進むことが多いです。


仲介業者に依頼して売却する

土地をできるだけ高く売りたい場合は、不動産仲介業者に依頼して市場で買主を探す方法が一般的です。売却までに時間がかかることもありますが、相場に近い価格で売れる可能性があります。


ただし、内覧や価格交渉などの対応が必要になるため、手間や期間を考慮して検討することが大切です。


仲介業者に依頼して売却する

知人や親族などに直接買主を見つけて売却する「個人売買」という方法もあります。仲介手数料が不要というメリットがある一方で、契約内容や登記、税金の手続きを自分で行う必要があります。


内容に不備があるとトラブルになるおそれもあるため、売買契約書の作成や法的な確認は司法書士など専門家のサポートを受けるのが安心です。

故人名義の土地を売却する手続き

故人名義の土地を売却するには、まず相続に関する手続きを進める必要があります。売却にはいくつかのステップがあり、相続が絡むと通常より複雑になることもあります。


あらかじめ流れを把握しておくことで、手続きをスムーズに進めやすくなります。ここでは、基本的な売却の流れをご紹介します。


Step1:遺産分割協議をまとめる(相続人が複数いる場合)

相続人が複数いる場合、土地を誰が相続するかを話し合いで決める必要があります。これを「遺産分割協議」といい、相続人全員の同意が必要です。


協議がまとまったら、内容を「遺産分割協議書」として書面に残し、全員が署名・押印します。万が一、話し合いがまとまらない場合は、家庭裁判所での調停や審判に進むこともあります。


Step2:相続登記をする

土地の相続人が決まったら、法務局で相続登記を行います。相続登記によって、故人名義だった不動産の名義が正式に相続人へ移ります。この登記が完了すると、土地を売却できる状態になります。


申請には、戸籍や遺産分割協議書、固定資産評価証明書などの書類が必要です。


Step3:不動産会社に査定を依頼する

相続登記が完了したら、次に土地の価格を把握するために不動産会社へ査定を依頼します。査定を受けることで、市場での評価や売却価格の目安が見えてきます


複数の会社に依頼することで、相場感を把握しやすくなり、条件の比較もしやすくなります。


Step4:買主と売買契約を結ぶ

査定後に売却先が決まったら、買主との間で売買契約を結びます。この契約では、売却価格や引き渡し時期、支払い方法などを明確に取り決めます。


不動産会社を通じて契約を進める場合、重要事項の説明や契約書の作成も不動産会社がサポートしてくれるため、手続きをスムーズに進めやすくなります。契約時には、身分証明書などが必要になるため、事前に準備しておくと安心です。


Step5:売却代金の受領と登記変更

売買契約を結んだあとは、決められた日程で買主から売却代金を受け取ります。代金の支払いと同時に、土地の所有権を買主へ移す「所有権移転登記」を行います。


当日は売主・買主・司法書士が金融機関などに集まり、手続きを進めるのが一般的です。


移転登記については「所有権移転登記とは?意味・費用・手続きの流れをわかりやすく解説!」にて詳しく解説しているので、ぜひご覧ください。


Step6:確定申告をする

土地の売却で譲渡所得が発生した場合は、翌年に確定申告を行わなければなりません。所得税や住民税が課されることがあり、売買契約書や登記書類、取得費の内訳などが必要です。


申告を怠ると追徴課税の対象になるおそれがあるため、注意が必要です。

故人名義の土地の相続登記・売却に必要な書類

故人名義の土地を相続・売却するには、必要な書類を事前にそろえておくことが大切です。これらの書類は相続登記と売却手続きの両方で使われるため、早めに内容を確認しておくとスムーズに進めやすくなります。


ここでは、それぞれの場面で求められる主な書類を整理します。


相続登記の必要書類

相続登記を行う際には、以下のような書類が必要です。

これらの書類は、役所や法務局で取得できますが、収集や記載に不安がある場合は司法書士に相談するとスムーズです。


売却時の必要書類

土地を売却する際には、次のような書類が必要になります。

買主への引き渡しや登記手続きで必要になるため、売却活動を始める前に手元にあるか確認しておくと安心です。


登記済権利証については「権利証(登記済証)とは?登記識別情報との違い・取り扱いの注意点を解説」にて詳しく解説しているので、ぜひご覧ください。

故人名義の土地の売却にかかる税金

相続した土地を売却すると、売却益に応じた税金がかかるほか、契約や登記に関連して課税される税金も発生します。こうした税負担を事前に把握しておくことで、想定外の出費を防ぐことができます。


ここでは、故人名義の土地を売却する際にかかる主な税金について見ていきましょう。


相続不動産の売却にかかる税金については「相続した不動産の売却にかかる税金は?控除や特例を解説」にて詳しく解説しているので、ぜひご覧ください。


譲渡所得税

譲渡所得税は、土地の売却で得た利益に対して課される税金です。売却価格から取得費や譲渡にかかった費用を差し引いた金額が「譲渡所得」となり、それに一定の税率が適用されます。


取得費がわからない場合は譲渡価格の5%を「概算取得費」として計算することも可能です。なお、所有期間が5年を超えるかどうかで税率が異なるため、売却時期によって税負担も変わります。


住民税

土地の売却で譲渡所得が発生すると、所得税だけでなく住民税も課されます。住民税は、前年の所得に基づいて計算され、通常は翌年6月以降に自治体から納付書が送付されます。


譲渡所得にかかる住民税の税率は一律5%です。確定申告の際に住民税もあわせて申告する必要があり、申告漏れがあると後日追って請求される可能性があります。


特別復興所得税

特別復興所得税は、東日本大震災の復興を目的に導入されたもので、所得税に上乗せされる形で課税されます。土地を売却して譲渡所得税が発生した場合、その金額の2.1%が加算されます。


確定申告の際に自動的に算出されるため、事前に目安を確認しておくとよいでしょう。


印紙税

土地の売買契約を結ぶ際には、契約書に印紙を貼って印紙税を納めます。税額は売買金額に応じて決まり、たとえば1,000万円超〜5,000万円以下の場合は1万円です。印紙を貼付して割印を押せば納税が完了します。


登録免許税(※一般的には買主が負担)

土地の売買では、所有権を取得するために登記が必要です。このときに課されるのが「登録免許税」で、固定資産税評価額に2%をかけて算出されます。


費用は通常買主が支払いますが、契約によっては売主と分担する場合もあります。

故人名義の土地を売却するときの注意点

土地の相続登記が終わっても、すぐに安心はできません。売却を進めるには、事前に確認しておきたいポイントがあります。


相続人の同意が必要な場合や、土地の状態によっては手間がかかることもあるため、トラブルを防ぐためにも注意点を整理しておきましょう。


名義人が複数人いる場合は、全員の同意が必要

土地を複数の相続人で共有している場合は、売却にあたって全員の同意が必要です。たとえば兄弟姉妹で名義を共有していると、一人でも反対すれば売却を進めることはできません


連絡が取れない人がいる場合や、意見がまとまらない場合には、話し合いに時間がかかることもあります。その結果、なかなか売却に進めず、手続き全体が長引いてしまうこともあります。


境界や測量の不備は売却前に専門家に確認する

土地を売却するには、敷地の正確な範囲や面積が明確になっていることが大切です。隣地との境界が曖昧だったり、登記上の面積と実際が異なっていると、トラブルにつながる恐れがあります。


相続した土地では、境界標が失われていたり、長年放置されていた例も少なくありません。土地家屋調査士などに事前調査を依頼することで、売却をスムーズに進めやすくなります。


ただ、必ずしも契約前に行わなければならないわけではありません


古家付き土地は解体の有無で売却条件が変わる

相続した土地に古い建物が残っている場合、更地にするかどうかで売却条件や価格が変わることがあります。買主の中にはリフォーム目的で古家を希望するケースもあるため、必ずしも解体が有利とは限りません


老朽化が進んでいても、すぐに取り壊さず、まずは買取業者不動産会社に相談してから判断するのがおすすめです。


その他の注意点として、抵当権については「抵当権とは?初心者向けにわかりやすく解説!手続き・メリット・デメリットまで」にて詳しく解説しているので、ぜひご覧ください。

故人名義の土地売却に関するよくある質問

故人名義の土地を売却したいものの、手続きや法的なルールに不安を感じる方は少なくありません。ここでは、よくある質問についてわかりやすく解説します。


名義が故人のままになっている土地は放置しても問題ない?

名義が故人のままでも、すぐに問題が起きるとは限りません。ただし、放置を続けると相続登記の義務違反で過料の対象になるほか、次の相続時に関係者が増え、手続きが複雑化する可能性があります。


固定資産税の通知が届かなくなったり、土地を使いたくても動かせなかったりと、不都合が生じることもあるため、早めの相続登記が推奨されます。


相続登記をせずに売ることは可能ですか?

結論から言うと、相続登記をせずに土地を売却手続きを完了させることはできません。不動産を売るには、登記簿上の所有者と売主が一致している必要があります


名義が故人のままでも契約自体は可能ですが、そのままでは所有権の移転登記ができないため、売却を完了することはできません。買主に所有権を移すためにも、まずは相続登記を済ませることが不可欠です。

故人名義の土地をスムーズに売却するために

故人名義の土地を売却するには、相続登記をはじめとする各種手続きや書類の準備が必要です。とくに、相続人が複数いる場合や、土地の状況に不明点がある場合は、想定以上に時間や手間がかかることもあります。


スムーズに売却を進めるためには、早めに相続登記を行い、必要な情報や書類を整理しておくことが大切です。


また、「何から始めればいいかわからない」「手続きが不安」と感じたときは、オープンハウスにご相談ください。相続登記の進め方や売却方法についても、経験豊富なスタッフが丁寧にご案内いたします。


書類の収集方法や登記の申請手順、売却時の注意点なども具体的にご説明いたしますので、はじめての方でも安心です。まずはお気軽にお問い合わせください。

オープンハウスは相続不動産も買取します

オープンハウスは、売れなくて困っている土地、いびつな土地や古い建物が建ったままの土地でも、積極的に買い取ります。

電話やネットからお問い合わせいただければ、経験を積んだ専門のスタッフが買い取り価格を素早く算出し、24時間以内にお知らせします。価格に納得頂ければ最短48時間で現金化も可能です。

オープンハウスの買取買取フロー

商談が未成立でも相談料等は発生しません。お気軽にお問い合わせください。

最短48時間で即現金化!

※諸条件がございます。詳細はお問い合わせください。

不動産売却専用ダイヤル

受付時間:9:00~19:00(水曜定休)
お気軽にお問い合わせください。