公開日:2025年06月02日
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抵当権の抹消手続きを自分でするには?費用や必要書類まで解説

不動産を売却する際、抵当権の抹消手続きは必ずしなければならないことをご存知でしょうか? 抹消手続きをしないまま放置してしまうと、不動産を売却する時や、新たな融資を受ける際に不利益を被ることがあります。しかし、実際には手続きの流れや必要書類、費用について理解すれば、スムーズに進めることができる可能性があります。 この記事では、抵当権の抹消手続きの流れや費用、注意点についてわかりやすく解説します。ぜひ最後まで読んで、抹消手続きをスムーズに進めましょう。

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抵当権の抹消手続きに関する基本知識

抵当権の抹消手続きは、不動産取引において重要な手続きの一つです。住宅ローンを完済した後や、不動産売却時に必要となるこの手続きについて、多くの方が疑問を抱えています。


抵当権とは何か、住宅ローンを完済したら抵当権はどうなるのか、順を追って説明していきます。


不動産所有者や これから不動産を購入する予定の方にとって、必須の知識となりますので、ぜひ最後までお読みください。

抵当権とは住宅ローンなどの担保のこと

抵当権とは、住宅ローンなどの融資を受ける際に、金融機関が不動産に設定する担保のことです。万が一、返済が滞った場合に、金融機関は抵当権に基づいて不動産を競売にかけ、融資額を回収できます。つまり、抵当権は金融機関にとってのリスクヘッジの役割を果たしています。

住宅ローンを完済したら抵当権はどうなる?

住宅ローンを完済すると、抵当権はその役割を終えます。しかし、抵当権は自動的に消滅するわけではなく、抹消手続きを行う必要があります。


抵当権が設定されたままになっていると、不動産の売却や新たな融資の際に支障をきたす可能性があります。そのため、住宅ローン完済後は速やかに抹消手続きを行うことが重要です。


参考:法務局|住宅ローン等を完済した方へ(抵当権の登記の抹消手続のご案内)


抵当権については「抵当権とは?初心者向けにわかりやすく解説!手続き・メリット・デメリットまで」で詳しく解説しているので、ぜひご覧ください。

抵当権の抹消手続きを自分でする方法・流れ

住宅ローンを完済された方は、抵当権の抹消手続きをご自身で行うことが可能です。本章では、具体的な方法と流れを段階的に解説します。必要な書類の準備から法務局への申請まで、一つずつ丁寧に見ていきましょう。

ステップ1:必要書類を準備する

抵当権の抹消手続きには、次の書類が必要です。

  • 登記申請書
  • 登記識別情報 または 登記済証(抵当権設定契約書に「登記済」の押印 がされたもの)
  • 登記原因証明情報(弁済証書、解除証書など)
  • 委任状(金融機関からの)
  • 会社法人等番号

必要書類は、金融機関から送られてくるものや、ご自身で用意するものがあります。事前に確認し、不足がないように準備しましょう。

ステップ2:管轄の法務局を調べる

不動産の所在地を管轄する法務局を調べる必要があります。管轄の法務局はウェブサイトで確認することができます。


参考:法務局|管轄のご案内

ステップ3:登記申請書に記入する

登記申請書は、法務局のウェブサイトからダウンロードすることができます。申請書には、不動産の表示、申請人の情報、抹消する抵当権の情報などを記載します。必要事項を正しく記入し、不備がないようにしましょう。

ステップ4:法務局へ申請する

準備した書類と登記申請書を管轄の法務局へ提出します。窓口での申請のほか、郵送やオンラインでの申請も可能です。ただし、オンライン申請には、電子署名や電子証明書が必要になる場合があります。


申請後、不備がなければ通常1週間から2週間程度で抹消手続きが完了します。完了後には、登記完了証が交付されます。


抵当権の抹消手続きをご自身で行うことで、司法書士への報酬を節約できます。しかし、書類の準備や法務局での手続きに時間と手間がかかることを考慮する必要があります。ご自身の状況に合わせて、最適な方法を選択しましょう。


抵当権の抹消手続きをご自身で行う時の手順と流れについては「抵当権抹消手続きを自分で行う手順・流れを初心者でも分かりやすく解説!」で、委任状の書き方については「抵当権抹消登記で委任状はなぜ必要?自分で手続きする場合の書き方や注意点を解説!」で詳しく解説しているので、ぜひご覧ください。

抵当権の抹消手続きにかかる費用

抵当権の抹消手続きには、いくつかの費用が発生します。主な費用として、登録免許税、事前調査費用、抹消後の確認費用があります。手続きにかかる費用を把握しておくことで、手続きの準備がスムーズに進められます。

登録免許税(1,000円/不動産1件)

登録免許税は、抵当権の抹消登記を行う際に国に納める税金です。不動産1件につき1,000円と定められています。例えば、土地と建物の両方に抵当権が設定されている場合、それぞれに1,000円の登録免許税がかかります。


例えば、土地と建物に抵当権が設定されている場合の計算式は次の通りです。


1,000円(土地)+ 1,000円(建物)= 2,000円

参考:法務局|登録免許税の計算

事前調査費用(331円~600円/不動産1件)

事前調査費用は、抵当権の抹消手続きを行う前に、法務局で不動産の情報を確認するためにかかる費用です。具体的には、登記事項証明書を取得する費用が該当します。


登記事項証明書があれば、現在の不動産の権利関係や抵当権の設定状況を確認できます。費用は、オンラインで取得するか、窓口で取得するかによって異なり、おおよそ331円から600円程度です。

抹消後の確認費用(331円~600円/不動産1件)

抹消後の確認費用は、抵当権の抹消登記が完了した後に、再度登記事項証明書を取得して、抵当権が正しく抹消されているかを確認するためにかかる費用です。


事前調査と同様に、オンラインまたは窓口で取得でき、費用も同程度です。確認を怠ると、万が一抹消が完了していない場合に、後々問題が発生する可能性があります。


司法書士に依頼することも可能ですが、確認費用に加えて司法書士への報酬が発生しますので注意しましょう。


登録免許税については「抵当権抹消の登記費用はいくらかかる?自分でする方法や流れまで解説」で詳しく解説しているので、ぜひご覧ください。

抵当権の抹消手続きを司法書士に頼むメリット・デメリット

抵当権の抹消手続きはご自身で行うこともできますが、司法書士に依頼するという選択肢もあります。司法書士に依頼することで、時間や手間を省けるなどのメリットがある一方で、司法書士への報酬が発生するというデメリットも存在します。


本章では、司法書士に依頼する場合のメリットとデメリットを詳しく解説します。

司法書士に依頼するメリット

司法書士に依頼する最大のメリットは、手続きをすべて代行してもらえることです。抵当権の抹消手続きには、書類の準備や法務局への申請など、ある程度の時間と手間がかかります。


平日に時間を作るのが難しい方や、手続きに自信がない方は、司法書士に依頼することでスムーズに手続きを進めることができます。

司法書士に依頼するデメリット

司法書士に依頼するデメリットは、司法書士への報酬が発生することです。司法書士に支払う報酬は、事務所によって異なりますが、おおよそ1万円~2万円程度が相場です。


ご自身で手続きを行えば、登録免許税などの実費のみで済みますが、司法書士に依頼する場合は、書類発行の費用に加えて司法書士報酬が発生します。


しかし、報酬を支払うことで、時間と手間を大幅に削減できるというメリットもあります。ご自身の状況や予算に合わせて、司法書士に依頼するかどうかを検討しましょう。


抵当権については「抵当権とは?初心者向けにわかりやすく解説!手続き・メリット・デメリットまで」で、抵当権抹消登記については「抵当権抹消登記の必要書類・手続き・紛失時の対処法を解説」で詳しく解説しているので、ぜひご覧ください。

抵当権抹消手続きをするときの注意点

抵当権の抹消手続きを行う際には、いくつかの注意点があります。手続きをスムーズに進めるために、次の注意点に気をつけましょう。

住所や氏名の変更手続きが必要なケースがある

抵当権設定時の住所や氏名から変更があった場合、抵当権抹消手続きの前に、住所や氏名の変更登記が必要となる場合があります。


登記簿上の情報と現在の情報が一致している必要があり、もし一致していない場合は、変更登記を先に行う必要があるためです。


例えば、引っ越しをして住所が変わった場合や、結婚して氏名が変わった場合などが該当します。変更登記には、住民票や戸籍謄本などの書類が必要になります。

関連書類の有効期限切れがないようにする

抵当権抹消手続きには、金融機関から発行される書類が必要ですが、これらの書類には有効期限が設定されている場合があります。


特に、解除証書や委任状などは、発行から一定の期間が経過すると無効になることがあるため、有効期限を確認し、期限切れがないように注意しましょう。


もし有効期限が切れてしまった場合は、再度金融機関に書類の発行を依頼する必要があります。再発行には時間がかかる場合もあるため、早めに手続きを進めることが大切です。

名義人が亡くなっている場合は住宅ローンの完済有無を確認する

不動産の所有者(名義人)が亡くなっている場合、抵当権抹消手続きを行う前に、住宅ローンの完済状況を確認する必要があります。住宅ローンが完済されていない場合、相続人がローンの残債を支払うか、団体信用生命保険(団信)でローンが完済される必要があります。


団信でローンが完済される場合でも、金融機関から抵当権抹消に必要な書類が発行されるまでに時間がかかることがあります。


また、相続人が複数いる場合は、遺産分割協議を行い、誰が不動産を相続するかを決定する必要があります。手続きには時間がかかるため、早めに専門家(司法書士、弁護士等)に相談することをおすすめします。


相続については「家を相続する方へ-不動産を相続する際の必要手続きや書類・方法・費用を徹底解説」で詳しく解説しているので、ぜひご覧ください。

抵当権の抹消手続きをしないとどうなる?

抵当権の抹消手続きは、住宅ローン完済後に法的に義務付けられているわけではありません。しかし、手続きをせずに放置すると、将来的に不利益が生じる可能性があります。本章では、抵当権を抹消しない場合に起こりうる事態について解説します。

不動産の売却が難しくなる

不動産を売却する際、買主は抵当権が設定されたままの状態での購入を避ける傾向があります。抵当権が残っていると、万が一売主が債務を履行できなくなった場合、買主が所有権を失うリスクがあるためです。


そのため、抵当権が抹消されていない不動産は、売却価格が下がるか、そもそも買い手が見つからない可能性があります。

新たに融資を受けにくくなる

不動産を担保に新たな融資を受けようとする場合、抵当権が残っていると審査に通りにくくなることがあります。金融機関は、すでに抵当権が設定されている不動産への融資をリスクが高いと判断するためです。


もし融資を受けられたとしても、金利が高くなるなどの不利な条件となる可能性があります。

相続がスムーズにできなくなる

相続が発生した際、抵当権が抹消されていない不動産は、相続手続きを複雑にする要因となります。相続人は、被相続人の住宅ローン完済の事実を確認し、抹消手続きを行う必要が生じます。この手続きには、金融機関とのやり取りや書類の準備など、時間と手間がかかります。


抵当権の抹消手続きは、ご自身で行うことも可能ですが、司法書士に依頼することもできます。司法書士に依頼すれば、書類の準備や法務局での手続きを代行してもらえるため、時間と手間を省くことができます。


不動産を担保に新たな融資を受けようとする場合については「抵当権とは?初心者向けにわかりやすく解説!手続き・メリット・デメリットまで」で詳しく解説しているので、ぜひご覧ください。

よくある質問

抵当権の抹消手続きはいつまでに行えば良いですか?

抵当権の抹消手続きには、法的な期限は定められていません。しかし、住宅ローンを完済した後に手続きをしないまま放置すると、将来的に不動産の売却や新たな融資を受ける際に支障が生じる可能性があります。

特に、長い期間が経過すると、必要書類の紛失や金融機関の合併などにより、手続きが複雑になる場合があります。不動産を売却する際、抵当権が残っていると買い手が見つかりにくくなるため、早めの手続きが推奨されます。

抵当権抹消手続きは自分で行うべき?

抵当権抹消手続きは、ご自身で行うことも可能です。費用を抑えたい場合には有効な選択肢です。しかし、必要書類の準備や登記申請書の作成、法務局での手続きには専門知識と一定の時間が求められます。

書類に不備があると、何度も法務局へ足を運ぶ手間が発生する可能性もあります。司法書士に依頼すれば、手続きを代行してもらえるため、時間や労力を大幅に削減できます。司法書士報酬が別途かかりますが、正確かつスムーズな手続きが期待できます。

抵当権抹消登記の必要書類を紛失したときの対象法は?

抵当権抹消登記に必要な書類を紛失した場合でも、手続きを進めることは可能です。まず、金融機関から交付された「抵当権解除証書」や「弁済証書」などを紛失した場合は、金融機関に連絡して再発行を依頼します。

ただし、再発行が難しい場合や、再発行までに時間がかかる場合もあります。例えば登記済証(権利証)や登記識別情報通知を紛失した場合は、司法書士に依頼して「事前通知制度」や「本人確認情報」を利用する方法があります。

抵当権設定時の住所から引っ越した場合どうすればいい?

抵当権設定時から住所が変更になっている場合、抵当権抹消登記の前に「登記名義人住所変更登記」が必要となることがあります。この手続きには、住民票や戸籍の附票など、住所の変更履歴を証明する書類が必要です。

書類の準備が完了したら、法務局へ申請します。住所変更登記を済ませてから、抵当権抹消登記を行う流れとなります。

オンラインで抵当権抹消手続きは可能?

抵当権抹消手続きは、オンラインでの申請も可能です。法務局が提供する「登記・供託オンライン申請システム」を利用します。

また、添付書類はPDF形式などで電子化して提出します。慣れない方にとっては、オンラインでの手続きは複雑に感じるかもしれません。時間に余裕を持たせて申請することをお勧めします。

まとめ

本章では、抵当権の抹消手続きについて解説しました。抵当権は、住宅ローンなどの借入の担保として設定されるもので、完済後には抹消手続きが必要です。手続きを怠ると、不動産の売却や新たな融資の際に支障をきたす可能性があります。


また、抹消手続きはご自身で行うことも可能ですが、書類の準備や法務局での申請など、ある程度の時間と手間がかかります。司法書士に依頼することもできますが、その場合は司法書士報酬が発生します。


抹消手続きに関してはご自身の状況や期間、スケジュールに合わせて、最適な方法を選択しましょう。もし手続きに不安がある場合は、専門家である司法書士に相談することを推奨します。

須藤光輝

記事監修

須藤 光輝

宅地建物取引士 応用情報技術者

福島県出身。慶応義塾大学理工学部を卒業後、2014年に中途でオープンハウスに入社。
営業推進部門の立ち上げ、戸建事業の経営計画策定、仕入契約条件の標準化、DXを推進。
買取再販部門の立ち上げ、個人から直接用地仕入を行うためのスキーム確立。
契約管理部門の立ち上げ、事業標準化と生産効率の向上。
事業管理部門の立ち上げ、品質・安全性・顧客満足向上と取り組んできた業務は多岐にわたる。
現在は、他社に先行し実家じまい・家じまいのセミナー講師を務める傍ら、戸建賃貸ファンド・アパート事業の責任者をしている。
趣味は考古学、子どもと一緒にパズルを作ること。

福島県出身。慶応義塾大学理工学部を卒業後、2014年に中途でオープンハウスに入社。
営業推進部門の立ち上げ、戸建事業の経営計画策定、仕入契約条件の標準化、DXを推進。
買取再販部門の立ち上げ、個人から直接用地仕入を行うためのスキーム確立。
契約管理部門の立ち上げ、事業標準化と生産効率の向上。
事業管理部門の立ち上げ、品質・安全性・顧客満足向上と取り組んできた業務は多岐にわたる。
現在は、他社に先行し実家じまい・家じまいのセミナー講師を務める傍ら、戸建賃貸ファンド・アパート事業の責任者をしている。
趣味は考古学、子どもと一緒にパズルを作ること。

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