抵当権抹消の登記費用はいくらかかる?自分でする方法や流れまで解説

抵当権抹消の登記費用はいくらかかる?自分でする方法や流れまで解説

住宅ローンを完済すると、「抵当権抹消登記」という手続きをしなければなりません。抵当権とは、ローンの担保として金融機関が設定する権利のことで、ローンを完済したあと自動的になくなります。しかし登記情報としては自動的には消えません。そのため、正式な手続きをして登記簿から抵当権を抹消する必要があります。

しかし、抵当権抹消登記には一定の費用がかかります。「どのくらい費用がかかるのか知りたい」「司法書士に頼んだほうがいいのか迷っている」という方も多いのではないでしょうか?この記事では、抵当権抹消にかかる費用の詳細や手続きの流れについて、わかりやすく解説していきます。抵当権の手続きや内容については抵当権とは?初心者向けにわかりやすく解説!手続き・メリット・デメリットまで」にて詳しく解説しているので、ぜひご覧ください。

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抵当権抹消登記の手続きにかかる費用

抵当権抹消に必要な費用は、大きく分けて5つあります。

  1. 登録免許税
  2. 必要書類の準備費用
  3. 事前調査費用
  4. 事後謄本取得費用
  5. 司法書士への依頼料(任意)

司法書士への依頼料については、手続きを司法書士へ依頼した場合に発生します。ただし、費用をできるだけ抑えたい場合は、自分で申請するのもよいでしょう。「時間をかけても費用を節約したい」という人は自分で申請し、「手間を省いて確実に手続きしたい」という人は司法書士に依頼する、といった形で選ぶとよいですね。


登録免許税

登録免許税とは、抵当権を抹消する際に必ず支払う税金です。この金額は決まっていて、不動産1つにつき1,000円となります。


例えば、一戸建ての場合、土地と建物がそれぞれ1つの不動産として扱われるため、合計2,000円かかります。マンションの場合は建物部分だけなので、1,000円になります。不動産の数によって金額が変わるので、事前に登記簿を確認しておきましょう。


必要書類の準備費用

抵当権を抹消するには、いくつかの書類が必要になります。それぞれの取得にかかる費用も考えておくと安心です。


代表的な書類としては、以下のようなものがあります。


登記原因証明情報(抵当権解除証書) 金融機関が発行する証明書、多くの場合無料ですが発行手数料がかかることもあります
登記済権利証または登記識別情報 不動産の所有者を証明する書類、金融機関から無料で発行されます
抵当権者の委任状 金融機関が発行する委任状
抵当権抹消登記申請書 法務局に提出する申請書、法務局で取得することができます

ほとんどの書類は無料で手に入りますが、万が一紛失した場合、再発行に時間や手数料がかかることもあるので、事前に確認しておきましょう。


抵当権抹消の必要書類については、「抵当権抹消登記の必要書類・手続き・紛失時の対処法を解説」にて詳しく解説しているので、ぜひご覧ください。


事前調査費用

抵当権抹消の手続きを始める前に、不動産の登記情報を確認しておくとスムーズです。自分の不動産がどのように登記されているのかを調べるには、「登記情報提供サービス」や法務局を利用できます。


オンラインで確認できる「登記情報提供サービス」を使えば、1件あたり331円で閲覧できます。法務局で登記簿謄本を取得する場合は600円かかります。


この確認をしておけば、住所変更や名前の間違いがないか事前にチェックできるため、余計な手続きを減らすことができます。特に、過去に引っ越しをしていたり、婚姻などで姓が変わっていたりする場合は、事前の確認が大切です。


事後謄本取得費用

抵当権抹消の手続きが終わったあとは、念のため登記事項証明書(登記簿謄本)を取得し、ちゃんと抹消されたことを確認しましょう。

窓口申請の場合 1通600円
オンライン申請の場合 1通500円

通常は1通取得すれば問題ありませんが、不動産の売却を考えている場合は、買主や不動産会社から提出を求められることがあるため、複数枚用意しておくと安心です。


司法書士への依頼料

前述している通り、抵当権抹消登記は自分で手続きすることもできますが、「書類を間違えずに準備できるか不安」「法務局に行く時間がない」という人は、司法書士に依頼するのも一つの方法です。


司法書士に依頼した場合の費用は、おおよそ20,000円~40,000円が相場です。


この金額の中には、以下のような費用が含まれます。

基本報酬 10,000円~20,000円
事前調査や書類取得の代行費用 5,000円~10,000円
登記申請手数料 5,000円~10,000円

司法書士に頼むことで自分で手続きする手間が省けるだけでなく、書類の不備や手続きミスを防ぐことができます。特に、住所変更や相続が絡んでいる場合、手続きが複雑になることがあるため、専門家に相談すると安心です。

抵当権抹消の登記費用は誰が払う?

抵当権抹消の登記費用は、どのような理由で抹消するのかによって、支払う人が変わります。基本的には、その不動産を所有している人が負担することになりますが、具体的なケースごとに見ていきましょう。


ローン完済時は所有者が負担

住宅ローンを完済したときは、抵当権抹消の手続きが必要になります。この場合、抹消にかかる費用は、ローンを完済した人(不動産の所有者)が負担するのが一般的です。


住宅ローンを組んだ際に、金融機関が抵当権を設定しますが、ローンの返済が完了した時点で金融機関の権利はなくなります。ただし、前述したように登記簿上ではそのまま残ってしまうため、正式に抹消するための手続きを行う必要があります。


ローンを完済すると、金融機関から「抵当権抹消証書」や「登記済証(または登記識別情報)」が送られてきます。これらの書類をもとに、所有者が手続きを進めます。

司法書士に依頼する場合は、手続き費用も含めて自分で負担することになります。


また、住宅ローンを繰り上げ返済した場合も、完済と同じ扱いになるため、ローンを完済したタイミングで早めに手続きを進めるのがよいでしょう。


相続に伴う抹消は相続人が負担

不動産の所有者が亡くなり、その方が住宅ローンを完済していた場合でも、抵当権は自動的には消えません。相続人がその不動産を引き継ぐ際には、抵当権を抹消する手続きをする必要があります。このとき、抹消のための費用は相続人が負担するのが一般的です。


相続に伴う抵当権抹消の手続きでは、通常の手続きに加えて、相続関係を証明する書類(戸籍謄本や遺産分割協議書など)が必要になります。これらの書類の取得費用や、必要に応じて司法書士に依頼する場合の報酬なども、相続人の負担になります。


特に、相続が発生したときにすぐに手続きをしないと、不動産を売却したり、新たにローンを組んだりする際に支障が出ることがあります。なるべく早めに、抵当権抹消の手続きを済ませておくことをおすすめします。


売却に伴う抹消時は売主が負担

不動産を売却する際にも、売主が抵当権抹消の費用を負担するのが一般的です。住宅ローンを完済せずに売却する場合でも、売買契約の成立と同時にローンの残債を一括返済することが多く、その際に抵当権の抹消が必要になります。


例えば、不動産を売るために新しい買主が見つかったとしても、抵当権がついたままではスムーズに取引が進みません。買主は抵当権が消えていない不動産を購入したくないため、売主の責任で抵当権を抹消する必要があります。そのため、売却時には売主が負担して手続きを進めることになります。


親がなくなり、相続した不動産を売却したいなどの場合は、抵当権の抹消が必要かどうかよく確認しましょう。


また売却のタイミングで抵当権を抹消する場合でも、司法書士に依頼することがほとんどです。不動産会社と連携しながら、売買契約の前後でスムーズに手続きが進められるように準備しておくとよいでしょう。


不動産相続の内容については「家を相続する方へ-不動産を相続する際の必要手続きや書類・方法・費用を徹底解説」にて詳しく解説しているので、ぜひご覧ください。


自分で抵当権抹消登記を行う方法

抵当権抹消登記は司法書士に依頼することもできますが、自分で手続きを進めることも可能です。費用を抑えたい方や、手続きを経験してみたいという方であれば、自分で進めるのも良い方法です。


ただし、書類の不備や手続きミスがあると法務局で受理されず、手続きが遅れることがあります。手続きの正しい流れを理解し、必要な書類をしっかり準備することが大切です。


抵当権抹消手続きの流れ

抵当権抹消登記を自分で行う場合、大きく分けて 6つのステップ があります。

  1. 抵当権抹消に必要な書類を準備します。
  2. 法務局に提出する「抵当権抹消登記申請書」を作成します。申請書は法務局の公式サイトからダウンロードでき、手書きでも作成可能です。書類に間違いがあると受理されないため、慎重に作成しましょう。
  3. 抵当権抹消登記には登録免許税(不動産1筆につき1,000円)が必要です。法務局の窓口で収入印紙を購入し、申請書に貼り付けます。
  4. 必要書類がそろったら、不動産所在地を管轄する法務局へ提出します。
  5. 申請が受理されると、法務局で審査が行われます。通常は1~2週間程度で完了しますが、混雑状況によっては変動することがあります。不備があれば法務局から連絡があるため、速やかに対応しましょう。
  6. 手続き完了後、登記事項証明書(登記簿謄本)を取得し、抵当権が抹消されたことを確認します。不動産を売却予定の場合は、複数枚用意しておくと便利です。

以上が、抵当権抹消を自分でする際の流れです。


自分で抵当権抹消を行う手続きの内容については「抵当権抹消手続きを自分で行う手順・流れを初心者でも分かりやすく解説!」にて詳しく解説しているので、ぜひご覧ください。


抵当権抹消を行う際のチェックポイント

自分で手続きを行う際には、いくつか注意すべきポイントがあります。

  1. 書類の不備に注意しましょう。書類が1つでも不足していると、法務局で受理されません。特に、金融機関から受け取る「抵当権抹消証書」や「登記識別情報」を紛失してしまうと、手続きが複雑になってしまいます。事前に必要な書類がそろっているか、しっかり確認しておきましょう。
  2. 住所変更がある場合は追加書類が必要になります。登記簿に記載されている住所と現在の住所が異なる場合、住民票や戸籍の附票など、住所の変更を証明できる書類が必要になります。特に、転居を何度かしている場合は、過去の住所をすべて証明できる書類を用意しないと、手続きがスムーズに進まないことがあるため注意が必要です。
  3. 法務局の管轄を確認しましょう。抵当権抹消登記の申請は、「不動産の所在地を管轄する法務局」に提出しなければなりません。現在の居住地ではなく、不動産がある地域の法務局に申請する必要があるため、事前にどの法務局に提出するのかを確認しておきましょう。
  4. 登録免許税の額を間違えないようにしましょう。登録免許税は、不動産の筆数ごとに1,000円ずつかかります。例えば、土地と建物の2筆がある場合は2,000円になるため、筆数を間違えると受理されないことがあります。事前に登記簿を確認し、適切な金額を用意しましょう。
  5. 余裕をもって手続きを進めると安心です。法務局の手続きには時間がかかることがあるため、早めに準備を始めるのが理想です。特に不動産の売却を予定している場合は、取引の直前になって焦らないよう、できるだけ早めに手続きを済ませておきましょう。

この流れに沿って進めれば、抵当権抹消登記をスムーズに完了できます。

抵当権抹消登記に関する費用面の注意点

抵当権抹消登記の費用にはいくつか注意点があります。

  • 登記費用を安くするためのポイント
  • 抵当権抹消登記でかかった費用は譲渡所得の控除には使えない

しっかりと確認して抵当権抹消登記をスムーズに進めるようにしましょう。


登記費用を安くするためのポイント

抵当権抹消登記をなるべく安く済ませるには、いくつかの工夫ができます。


ここまで説明してきた通り、抵当権抹消登記を自分でする場合は司法書士への報酬はかかりません。自分で抵当権抹消登記をすることで、費用を抑えることができます。ただし自分でする場合にも、費用を抑えるのに気を付けるべきこともあります。


まず登録免許税の支払いミスを防ぐことです。この税金は、不動産の数(筆数)によって金額が変わります。たとえば、一戸建てなら土地と建物で合計2,000円、マンションなら1,000円となります。事前に登記簿を確認し、必要な金額を正しく計算しておけば、無駄な出費を防げます。


書類の不備による再提出を避けることも、余計な費用をかけないコツです。一度の申請で受理されれば、追加で書類を取りに行ったり、郵送代を払ったりする必要がありません。特に、法務局へ郵送で申請する場合は、書類にミスがあると何度もやりとりすることになり、時間もお金も余計にかかってしまいます。事前にしっかり確認し、必要なら法務局の窓口で相談してから申請すると安心です。


もし司法書士に依頼する場合でも、費用を抑える方法があります。事務所によってかかる費用が異なるため、複数の司法書士に見積もりをお願いして、料金を比較するのがおすすめです。少しでも安いところを探すことで、費用を節約できます。


抵当権抹消登記でかかった費用は譲渡所得の控除には使えない

不動産を売ったときには、売却で得た利益(譲渡所得)から必要な費用を差し引いて、税金を計算します。売却に関する費用として、仲介手数料や測量費、建物の解体費などは差し引くことができますが、抵当権抹消登記にかかった費用は控除の対象になりません


その理由は、抵当権抹消の手続きは「売却のために必ず必要なもの」とはみなされないからです。売却前に抵当権を抹消することが多いですが、場合によっては買主が抹消手続きを条件に契約することもあります。そのため、税金の計算では「売却とは関係のない費用」として扱われ、控除できないのです。


たとえば、司法書士への報酬や法務局で支払う登録免許税の費用も、売却の経費にはなりません。つまり「抵当権抹消にかかったお金は、税金を安くするのには使えない」ということになります。


ただし、不動産の売却にかかるほかの費用(仲介手数料や登記手続き費用など)は控除の対象になることが多いので、不動産を売る予定がある人は、事前に税務署や専門家に相談するとよいでしょう。また、抵当権抹消登記の費用は節約できる部分もあるため、工夫しながら手続きを進めることで、無駄な出費を防ぐことができます。

抵当権抹消登記の費用を理解して、スムーズに手続きを進めよう

抵当権抹消登記にはさまざまな費用がかかりますが、手続きを自分で行うか、専門家に依頼するかによって負担額が変わります。費用を抑えたい場合は自分で申請することも可能ですが、必要書類の準備や手続きの流れを正しく理解しておくことが重要です。


また、抹消のタイミングによって費用の負担者が異なる点にも注意が必要です。スムーズに手続きを進めるためにも、事前に費用の内訳を把握し、不安がある場合は専門家に相談することをおすすめします

山田拓弥

記事監修

山田 拓弥

宅地建物取引士 相続診断士

小中高と新潟で過ごし、大学入学と共に上京。大学卒業後は大手アパート建設メーカーに入社、営業職として従事し当時最年少で課長に昇進。
5年間アパートメーカーに勤めた後、2017年オープンハウス・ディベロップメントへ転職、お客様からの不動産買取や売却相談に対応している。税制や相続に関連した相談などへの細かい対応を得意とする不動産買取のスペシャリスト。

小中高と新潟で過ごし、大学入学と共に上京。大学卒業後は大手アパート建設メーカーに入社、営業職として従事し当時最年少で課長に昇進。
5年間アパートメーカーに勤めた後、2017年オープンハウス・ディベロップメントへ転職、お客様からの不動産買取や売却相談に対応している。税制や相続に関連した相談などへの細かい対応を得意とする不動産買取のスペシャリスト。

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