家を売却するときの基礎知識!流れ・税金・不動産会社の選び方【完全ガイド】

家を売却するときの基礎知識!流れ・税金・不動産会社の選び方【完全ガイド】

家を売却するのは、多くの方にとって一生に一度あるかないかの大きな決断です。いざ売ろうと思っても、「何から始めればいいの?」「どれくらい税金がかかるの?」といった疑問や不安を抱える方は少なくありません。この記事では、家を売却する際の基本的な流れや手続き、必要な書類、税金の種類、不動産会社の選び方などをまとめて解説します。これから売却を考えている方は、ぜひこの記事を参考にしてみてください。

オープンハウスの買取事例

家を売却する3つの手段

家を売却する方法には、大きく分けて3つの手段があります。


  • 不動産会社に依頼して売却する
  • 不動産会社に直接売却する
  • 個人(自分)で買い手を探して売却する

まずは、「なぜ家を売ろうとしているのか」という理由を明確にしておくことで、自分に合った売却方法を選びやすくなります。

ここでは、それぞれの特徴やメリット・デメリットをご紹介します。


①不動産会社に依頼して売却する

不動産会社に買主を探してもらう「仲介」は、家を売る際の一般的な方法のひとつです。売却活動や契約手続きなどをプロに任せられるため、不動産に不慣れな方でも安心して進められるのが特長です。


また、市場価格に近い値段で売却できるように営業してくれるため、できるだけ高く売りたい方にもおすすめの方法といえます。


一方で、成功報酬として仲介手数料(上限:売買価格の3%+6万円+消費税)を支払う必要がある点や、売却完了までに時間がかかる点はデメリットです。一般的に、売却には5~6カ月程度かかるとされています。


そのため、時間に余裕があり、少しでも高く売りたい方には適した売却方法です。


②不動産会社に直接売却する

不動産会社に家を直接買い取ってもらう方法もあります。


この方法では、不動産会社が買主になるため仲介手数料がかからず、最短で1週間ほどで現金化できるのが大きなメリットです。そのため、急いで売却したい事情がある方に適した方法です。


また、事前に提示される金額で売却できるため、「いつ売れるかわからない」といった不安がないのも安心ポイントです。


「早く売りたい」「手続きの手間を減らしたい」といった希望がある場合は、買取の選択肢も検討してみることがおすすめです。


不動産買取と仲介の違いについては、「不動産買取と不動産仲介は何が違う?手数料・相場・メリットを徹底比較」でも詳しく解説しているので、ぜひご覧ください。


③個人(自分)で買い手を探して売却する

不動産会社に頼らず、自分で買い手を見つけて個人間で直接売却する方法もあります。


この方法では、仲介手数料や消費税がかからないため、売却にかかるコストを抑えられるというメリットがあります。ただし、交渉や契約手続きなどをすべて自分で行う必要がある点には注意が必要です。


具体的には、売買契約書の作成、物件情報の告知、引き渡し手続きなど、多くの工程を自身で進めなければなりません。また、契約内容に関する責任(契約不適合責任)については、契約条件によって免責が認められる場合もありますが、原則として売主がその責任を負うことになるため、一定の法的知識が求められます。


こうした背景から、個人間売買は一般的にはあまり選ばれていません。ただし、買主が知人など信頼できる相手である場合や、どうしても仲介手数料をかけたくない特別な事情がある場合には、選択肢として検討されることもあります。


家の売却の流れ

家を売却する際の一般的な流れは、事前準備から始まり、売却後の確定申告まで大きく7つのステップに分けられます。ここでは、それぞれのステップとポイントをご紹介します。


①売却前の事前準備

家の売却を考えたら、まずは事前準備をしっかり行うことが重要です。準備を万全にしておくことで、売却活動をスムーズに進められ、売却後のトラブルや後悔も防げます。


  • 市場相場を把握する
  • 査定を依頼する前に、周辺の成約事例をもとに「いくらで売れそうか」の目安をつかみましょう。国土交通省の「不動産情報ライブラリ」や「レインズ・マーケットインフォメーション」などの公的データベースが便利です。

  • 住宅ローンの残債の確認する
  • 住宅ローンが残っている場合は、残債を確認し、売却代金で完済できるか把握しておきましょう。住宅ローンが残っている場合は、売却時に抵当権の抹消が必要になるため、早めに金融機関へ相談することをおすすめします。

  • 必要書類を準備する
  • 売却手続きをスムーズに進めるために、「登記済権利証(または登記識別情報)」や「間取り図・設備図」、「固定資産税納税通知書」といった物件関連書類をあらかじめ揃えておきましょう。

  • 家の整理整頓をしておく
  • 仲介で売却する場合は内覧対応があるため、不用品を処分し、玄関や水回りを中心に清掃しておきましょう。特に玄関や水回りなどは念入りに整えておくと、内覧時の印象がアップします。

②不動産会社へ査定を依頼する

家の売却を検討する際は、まず不動産会社に価格査定を依頼します。査定は「仲介」と「買取」のいずれを希望する場合でも対応可能で、多くの会社が無料で実施しています。


仲介を希望する場合は、不動産会社が売却活動を代行するため、「この価格なら3カ月以内に売れる」といった市場価格に基づく査定額が提示されます。一方、買取を希望する場合は、不動産会社自身が買主となるため、即時売却を前提とした価格が提示されます。


過去のリフォーム履歴や修繕記録、登記簿や設備情報などの資料を用意しておくと、査定の精度が上がるだけでなく、売却時にも役立ちます。


③不動産会社と媒介契約を結ぶ

家を売却する際に仲介を選択した場合は、不動産会社との間で「媒介契約」を結ぶ必要があります。これは、売却活動を正式に依頼するための契約であり、不動産会社が広告掲載や内覧対応などを行う前に必要な手続きです。


媒介契約とは、売却活動を正式に不動産会社へ依頼するための契約で、仲介手数料の料率(成功報酬)や契約期間、販売活動の方針などが定められます。契約内容を十分に理解せず進めてしまうと後でトラブルになる恐れがあるため、価格や媒介期間、手数料の条件をしっかり確認して署名押印しましょう。


なお、不動産会社による直接買取を選んだ場合は、媒介契約は不要です。この場合、売却活動そのものが発生しないため、契約手続きや販売準備の手間を省いて早期売却が可能です。


④売却活動を開始する


仲介の場合、媒介契約を締結したら、不動産会社による売却活動が開始します。不動産会社が広告を掲載したり、自社の顧客ネットワークやWebサイトからの問い合わせに対応したりしながら、購入希望者を募ります。


内覧希望の連絡が入った際は、可能な限りスムーズに日程調整を行い、多くの方に物件を見てもらえるよう柔軟に対応しましょう。


一方、買取の場合は、不動産会社がそのまま買主になるため、こうした広告活動や内覧対応は不要です。時間をかけずに売却したい場合は、買取という選択肢も検討してみましょう。


⑤売買契約の手続きを行う

仲介による売却では、購入希望者から「この価格で買いたい」という購入申込書が提出され、売主・買主双方の条件が合意に達すると、売買契約の締結に進みます。


契約時には、まず不動産会社(宅地建物取引士)による重要事項説明が行われ、物件の権利関係や契約条件などが詳しく説明されます。内容をしっかり理解した上で、売主・買主・不動産会社の三者で売買契約書に署名・押印します。


契約書は一度締結すると原則として簡単には変更できないため、納得したうえで手続きを進めることが重要です。買取の場合は、買主が業者となるため、重要事項説明の内容や契約手続きの流れがシンプルになる傾向があります。ただし、買取でも契約書の確認は同様に重要です。


⑥残金決済・物件引き渡し

売買契約後は、買主の住宅ローン手続きなどを経て、1〜2カ月後に残金決済と物件引き渡しを行うのが一般的です。


引き渡し当日は、残代金の受領と同時に、司法書士立会いのもとで所有権移転や抵当権抹消の登記申請を行います。必要書類(権利証、印鑑証明書など)は事前に準備し、不動産会社や司法書士と確認しておきましょう。


この際、仲介手数料の残額や司法書士への報酬も支払います。登記が完了したら、家の鍵や関連書類を買主に引き渡し、手続きは完了です。以降、不動産の管理責任や修繕義務は買主側に移りますが、固定資産税については、1月1日時点の所有者に対して課税されるため、売主と買主の間で日割り精算するのが一般的です。


買取を選択した場合も、登記や決済の基本的な流れは同様ですが、仲介と比較して内覧対応や価格交渉の手間が省けるため、結果的に短期間での取引成立につながるケースも多く見られます。


⑦売却後は確定申告を行う

家を売却して利益(譲渡益)が出た場合、翌年の確定申告期間内に申告と納税が必要です。たとえば2024年に売却した場合、2025年2月16日〜3月15日が申告期間となります。


損失が出た場合は税金は発生しませんが、申告によって繰越控除などの優遇を受けられる場合もあります。利益の有無にかかわらず、確定申告をしておくと安心です。


特に、マイホーム売却時に使える「3,000万円特別控除」を適用するには、申告が必須です。たとえ譲渡益が控除でゼロになっても、申告を忘れると控除は受けられないため注意しましょう。


不動産の買取の流れや手順については、「不動産・土地・マンション買取の流れ。知っておきたい業者選びのポイントでも詳しく解説してますので、ぜひご覧ください。

家の売却相場と適正価格の調べ方

家を適正な価格で売却するには、事前に市場の相場を把握しておくことが大切です。相場を知らずに価格を高く設定をすると買い手が現れにくくなり、逆に低すぎると本来得られるはずの利益を逃してしまう可能性があります。


ここでは、自分で売却相場を調べる方法と、市場動向の確認する際のポイントを紹介します。

自分でできる家の売却相場の調べ方

不動産会社に査定を依頼する前に、まずは自分で相場を調べてみましょう。不動産の成約価格は、公的なデータベースで公開されています。


国土交通省「不動産情報ライブラリ」


過去に実際に取引された物件の成約価格情報を確認できます。都道府県や地域を指定すると、土地・戸建て・マンションごとに、所在地・面積・築年数・成約時期・価格などが一覧で表示されます。また、公示地価や路線価などの基準地価も確認でき、地域の価格帯を把握するのに役立ちます。


不動産流通機構「レインズ・マーケットインフォメーション」


市区町村単位で検索でき、築年数や駅からの距離などを条件に類似物件の成約価格を絞り込むことが可能です。自宅と条件が近い物件が見つかれば、より現実的な価格の目安になります。


公的データは「成約価格」ベースのため実態に近い相場感が得られますが、インターネット上の売出価格はあくまで売主の希望価格である点に注意が必要です。


土地の相場を調べる方法については、「土地の相場を調べる方法。土地がいくらで売れるのか徹底解説」でも詳しく解説しているので、ぜひご覧ください。

不動産の市場動向もチェックしておくと安心

家を適正な価格で売却するためには、不動産市場全体の動きにも目を向けておくことが重要です。


近年では物価の上昇や住宅需要の高まりを背景に、住宅価格は全国的に上昇傾向にあります。たとえば建築コストの上昇や低金利による買い需要など、さまざまな要因が価格上昇に影響しています。


このような市場が上向いている時期には、やや強気の価格設定でも買い手が見つかりやすい反面、景気が後退している局面では価格を下げないと売れにくくなることもあります。


また、不動産には季節による売れやすさの差(繁忙期・閑散期)もあります。一般的に、新生活シーズンにあたる1〜3月は売却の需要が高まる時期であり、年末年始やお盆時期は引っ越し需要が少なく売れにくい傾向があります。


こうした市況の流れや季節要因もふまえ、不動産ニュースやレポートなどで最新の情報をチェックしておくと安心です。


不動産売却で発生する主な税金の種類

不動産を売却すると、さまざまな税金がかかります。売却時に発生する主な税金の種類と、利用できる特例・控除について整理しておきましょう。


不動産売却で発生する主な税金は下記の通りです。


印紙税

売買契約書を作成する際にかかる税金です。契約金額に応じた収入印紙を契約書に貼付します。たとえば、売買金額が5,000万円の場合、印紙税は通常3万円。ただし、2027年3月31日までは軽減措置が適用されます。


譲渡所得税

不動産の売却によって得た利益(譲渡所得)に対してかかる所得税です。取得費や諸経費を差し引いた利益が課税対象となります。


所有期間が5年を超える場合は15%、5年以下の場合は30%の税率が適用されます。


住民税

譲渡所得に対して課される地方税です。所有期間に応じて、5年超:5%/5年以下:9%が課税されます。譲渡所得税と住民税はセットで考えられることが多いため、税負担をトータルで見積もることが大切です。


復興特別所得税

東日本大震災の復興財源確保のため、2037年まで譲渡所得税に上乗せして課税される税金です。税率は譲渡所得税の2.1%(5年超の場合の実効税率は約0.315%)です。


消費税

中古住宅や土地そのものの売買には原則として消費税は非課税です。ただし、不動産会社への仲介手数料や司法書士への報酬などのサービスには10%の消費税が課されます。


登録免許税

所有権移転や抵当権の抹消に必要な登記手続きにかかる税金です。抵当権の抹消登記は、土地・建物ごとに1,000円/件の登録免許税が発生します。


相続した土地の売却にかかる税金については、「国税庁の制度をもとに解説!相続した土地の売却にかかる税金と特別控除とは?」でも詳しく解説しているので、ぜひご覧ください。

不動産売却に活用できる特例・控除

不動産を売却する際、一定の条件を満たせば税負担を大幅に軽減できる特例制度が用意されています。


ここでは、代表的なものを紹介します。


3,000万円特別控除

マイホーム(自己が居住していた住宅およびその敷地)を売却した場合、譲渡所得から最大3,000万円まで控除できます。適用には、同一年内にこの特例を使用していないこと、親子間などの特別な間柄でないことなどの条件があります。


譲渡益が3,000万円以下なら所得税・住民税ともに非課税となるのが特徴です。居住中の自宅に加え、空き家でも元自宅であれば3年以内の売却で対象になります。


マイホーム軽減税率の特例

10年以上所有したマイホームを売却した際に、3,000万円特別控除の適用後、残る譲渡益に軽減税率を適用できる制度です。


売却年の1月1日時点で所有期間が10年を超えていることが条件です。譲渡益6,000万円までの部分については、所得税10%・住民税4%(合計14%)、6,000万円を超える部分には所得税15%・住民税5%(合計20%)が適用されます。


特定居住用財産の買換え特例

マイホームを売却し、より高額な住宅を新たに購入する場合、譲渡益課税を将来に繰り延べできる制度です。売却価格より高い金額の住宅を購入すること、3,000万円特別控除や軽減税率との併用不可などの条件があります。


譲渡益に対する税金は、次回その住宅を売却するまで繰り延べられます。ただし、将来の売却時には繰り延べ分も含めて課税されるため、長期的な資金計画が重要です。


譲渡損失の繰越控除

売却時に損失が出た場合、その損失を翌年以降、最大3年間にわたり他の所得と相殺できる特例です。適用には、売却年の翌年末までに住宅ローンが残る住宅を取得して居住する(または旧居にローンが残っている)ことなどが条件です。


軽減税率との併用はできませんが、損失を他の所得と相殺できるため、所得税や住民税の還付を受けられる可能性があります。


被相続人居住用財産(空き家)売却特例

相続した親の家を空き家のまま売却する場合、譲渡所得から最大3,000万円を控除できる特例です。


適用には、昭和56年5月31日以前に建てられた住宅であること、相続開始から3年以内の年末までに売却することなどが条件となります。「空き家発生抑制特例」として、2027年末までの延長が決まっています。


これらの特例を適用するには、確定申告で所定の申告書や証明書類を提出する必要があります。適用要件も細かく定められているため、活用できる制度があるか、不動産会社や税理士に事前に相談してみると良いでしょう。


不動産売却に活用できる特別控除については、「不動産売却にかかる税金支払いを抑えられる特別控除について解説」でも詳しく解説しているので、ぜひご覧ください。


家を売却するタイミングの判断基準

家の売却は、タイミングが重要です。売却の適切なタイミングを見極める基準として、次のような状況が挙げられます。


維持費や管理負担が増えているとき

住み続けるための維持費や手間が増えてきたと感じたら、売却を検討するタイミングです。


住宅は、築年数が経つほど修繕が必要になり、築10年を超えると外壁塗装や屋根の補修など高額な工事が発生することもあります。


空き家にしていても、年間5~10万円の維持費がかかっている人が最も多いという国土交通省の調査データもあります。さらに空き家を放置すると「特定空き家」に指定され、固定資産税が最大6倍に増えるリスクもあります。


税金の納付期限が迫っているとき

固定資産税や都市計画税の支払いが控えている場合も、売却を検討する一つのきっかけになります。


これらの税金は不動産を所有している限り毎年発生し、物件によっては年間数十万円になることもあり、家計への負担が続きます。また、相続した家の場合、相続税の納税期限(相続開始から10カ月以内)が迫って現金が必要になるケースもあります。


不動産は売却までに時間がかかるため、期限ギリギリになって慌てないよう、早めに手続きを進めることが重要です。


特例や控除の期限が迫っているとき

不動産売却で使える税制上の特例や控除に期限がある場合は、それまでに売却を検討する価値があります。


代表的な「3,000万円特別控除」は、マイホーム売却時に譲渡所得から最大3,000万円まで控除できる制度です。空き家の場合、「空き家になってから3年が経過する年の12月31日まで」に売却しないと適用されません。


また、所有期間が10年超のマイホームを売却する際は、軽減税率の特例により譲渡所得税率が20%から14.21%に下がります(3,000万円控除と併用可)。


さらに、所有期間が5年以下か超かで税率が大きく異なります。

  • 5年以下(短期譲渡):39.63%
  • 5年超(長期譲渡):20.315%

取得から5年を迎える前後なら、5年を過ぎてから売却したほうが税負担を抑えられる可能性があります。


不動産の市場が上向いているとき

不動産市場が売り手に有利な状況であれば、売却の好機です。需要が高く供給が少ない時期は、高値で短期間に売却できる可能性があります。


たとえば、低金利や景気拡大によって購入・投資意欲が高まっている局面が該当します。


ただし、「もっと高くなるかも」とタイミングを逃すリスクもあるため、目標価格に近づいたら売却を決断することも大切です。一方、市場が下落している場合、無理に待っても価格が戻るとは限らないため、早めの売却で損失を最小限にする判断が求められることもあります。


土地や家を売るタイミングについては、「相続した土地を売るタイミングはいつがベスト?判断基準と注意点を徹底解説でも詳しく解説しているので、ぜひご覧ください。

家の売却で気を付けるべき注意点

家の売却は高額な取引であるため、進めるうえで注意すべき点を事前に把握しておくことが大切です。特に、売却にかかる諸費用は見落とされがちですが、後悔を防ぐためにはしっかり把握しておきましょう。


売却にかかる諸費用を把握する

家を売るときには、以下のような費用が発生します。


  • 仲介手数料
  • 不動産会社に支払う成功報酬で、上限は「売買価格の3%+ 6万円+消費税」と法律で定められています。

  • 印紙税
  • 売買契約書に貼る収入印紙で納付。

    例)売買価格が1,000万円超〜5,000万円以下の場合:1万円、5,000万円超〜1億円以下:3万円。契約書は2通作成するため、売主・買主で1通ずつ負担するのが一般的です。

  • 登記費用(抵当権抹消)
  • 住宅ローンを完済している場合、売主が抵当権の抹消登記を行う必要があります。司法書士報酬を含めて2~3万円程度が相場です。

状況によっては、測量費や建物解体費、不用品処分費、引っ越し費用などもかかります。これらを合計した売却時の諸費用は、一般に売却価格の5〜7%前後になると言われています。

売却代金すべてが手元に残るわけではないため、あらかじめ費用を見積もり、最終的な手取り額をシミュレーションしておくことが重要です。


査定に必要な書類を事前に準備しておく

スムーズに査定・売却活動を進めるため、必要書類を早めに準備しておくことが大切です。


以下は、査定時や契約時によく求められる代表的な書類です。


  • 登記簿謄本(登記事項証明書)
  • 物件の権利関係(所有者や面積、抵当権の有無など)を証明する書類です。法務局で取得できます。

  • 物件の権利証(登記識別情報)
  • 不動産の所有権を証明する書類です。2005年以降の登記では「登記識別情報通知(12桁の英数字)」が発行されています。

  • 建築関係書類
  • 戸建ての場合は建築確認済証や検査済証、設計図書など、マンションの場合は管理規約や維持費の明細などが該当します。昭和56年以前に建築された物件は、耐震診断報告書があれば準備しておきましょう。

  • 固定資産税納税通知書・評価証明書
  • 市区町村から毎年届く通知書で、固定資産税評価額が記載されています。最新年度分を用意しましょう。

  • 本人確認書類・実印・印鑑証明書
  • 運転免許証やマイナンバーカードなどの本人確認書類、契約に使う実印と、発行後3カ月以内の印鑑証明書が必要です。

  • その他
  • 土地の場合は境界確定測量図や境界確認書があれば用意します。過去にリフォーム歴がある場合は査定額アップに寄与する可能性があるため、リフォーム内容や時期のわかる書類(工事証明書など)も用意しましょう。マンションでは直近の管理費・修繕積立金の金額通知、戸建てでは地盤調査報告書なども該当するようであれば準備します。


買主が内覧前に家を整理する

仲介を選んだ場合、売却活動中に購入希望者の内覧対応は避けられません。内覧時の印象は売却の成否を左右するため、事前の整理整頓と清掃が重要です。


室内が散らかっていると、部屋の広さや間取りの魅力が伝わりにくくなります。不要な家具や家電は一時的に処分・整理し、購入希望者が「ここに住みたい」と感じる状態を意識することが大切です。


契約内容をしっかりと確認する

購入希望者が見つかり契約に進む際は、売買契約書の内容を細部まで確認することが重要です。契約書には、物件情報、代金の支払い条件、引渡し時期、契約解除や違約時の対応など、さまざまな条項が盛り込まれています。


まずは価格・手付金の金額と支払い方法、支払期日が明記されているかを確認しましょう。引渡しに関する取り決めも重要で、「いつ」「どのような状態で」引き渡すのかが契約書に明確に記されている必要があります。


また、契約不適合責任(旧・瑕疵担保責任)に関する条項も見落とせません。売主にとって過度な責任が課されていないか確認し、不利な内容があれば仲介担当を通じて買主と交渉する余地があります。


契約書への署名・捺印は、内容を十分に理解・納得した上で行うことが大切です。不明点がある場合はその場で確認し、曖昧なまま進めないよう注意しましょう。


売却後は忘れずに確定申告を行う

家を売却して利益(譲渡所得)が出た場合、翌年の確定申告期間内に申告・納税が必要です。会社員であっても、不動産の売却益は給与とは別に課税対象となるため、申告は必須となります。


確定申告では、売却価格・取得費・諸経費・控除額などをもとに譲渡所得を計算し、申告書に記載します。3,000万円特別控除や軽減税率の特例を適用する場合も、申告を行わないと控除が受けられないため注意が必要です。


不動産売却の税務計算はやや複雑なため、不動産会社が提供する譲渡所得の計算書類を活用し、必要に応じて税理士など専門家のサポートを受けるのも安心です。


家は売って終わりではなく、税務手続きまで完了してはじめて売却が完結します。申告漏れやミスを防ぐためにも、最後までしっかりと対応しましょう。


不動産の売却に関する注意点は、「家の売却でやってはいけないこと・注意することをまとめて紹介」や「不動産を売却するときの注意点。見積もり依頼や契約など、タイミング別に解説」でも詳しく解説しているので、ぜひご覧ください。


後悔しない不動産会社選びポイント

家の売却を成功させるには、信頼できる不動産会社の存在が欠かせません。どの会社に仲介を依頼するかで売却スピードや価格にも差が出るため、慎重に選びましょう。


ここでは、後悔しない不動産会社選びのポイントを解説します。


実績・得意分野のを持つ不動産会社を選ぶ

不動産会社ごとに強みは異なり、エリアや物件タイプに特化しているケースもあるため、自分の状況に合った会社を選ぶことが重要です。


たとえば、同じ地域での販売実績が豊富な会社は、そのエリアの相場や購入希望者のニーズに精通しており、心強いパートナーとなります。「〇〇市での不動産売却〇件以上」などの実績は、公式Webサイトやチラシで確認できるほか、直接問い合わせれば詳しく教えてもらえることもあります。


大手と中小のどちらが良いかは一概には言えません。

  • 大手不動産会社:広域に対応でき、集客力やブランド力に優れる
  • 地域密着型の中小業者:エリア特化の情報に強く、フットワークの軽さが魅力

不動産会社選びでは、自分の家の「売り」を的確に理解し、最大限に引き出してくれそうな会社かどうかを見極めることが大切です。過去の販売事例や、得意なエリア・物件種別などを比較し、実績があり信頼できる不動産会社に依頼しましょう。


査定は複数の不動産会社を比較する

査定は必ず複数の不動産会社に依頼しましょう。


比較するうえで重要なのは、提示された査定額の根拠を確認することです。極端に高い金額を出す会社は、契約を取るために実現性の低い価格を提示し、後から値下げを求めてくるケースもあります。


また、担当者の対応も比較ポイントです。説明がわかりやすいか、根拠ある提案ができるか、質問に的確に答えてくれるかを見て判断しましょう。複数社を比較することで、金額だけでなく会社の姿勢や信頼性も見えてきます。価格だけで決めず、信頼できる担当者がいる会社を選ぶことが大切です。


媒介契約前にサービス内容を確認する

不動産会社を選んだら、媒介契約を結ぶ前に提供されるサービス内容を確認しましょう。掲載する広告媒体や広告費の負担範囲、売主が別途負担すべき費用の有無など、事前に確認しておくことが重要です。


不動産会社によっては、買取保証制度やホームステージング(家具やインテリアでモデルルームのように演出し、物件の印象を良くするサービス)など、独自のサービスを提供している場合もあります。


契約書に不明点がある場合はその場で確認し、納得してから契約に進みましょう。


家を高値で売却するために、信頼できる不動産会社を選ぼう

家の売却には、価格の設定、不動産会社の選定、内覧対応、契約手続き、税金の申告など、さまざまなステップがあります。


だからこそ、ひとつひとつの判断が売却の結果に大きく関わります。


この記事で紹介したように、信頼できる不動産会社を選び、相場や制度を正しく理解しながら進めることで、不安を抑えつつ納得のいく売却が目指せます。特に、複数社の査定を比較することや、契約内容の確認、税制優遇の活用は、売却を成功させるための重要なポイントです。


後悔のない売却を実現するために、不安なことや分からないことがあれば、早めに専門家へ相談して進めていきましょう。


須藤光輝

記事監修

須藤 光輝

宅地建物取引士 応用情報技術者

福島県出身。慶応義塾大学理工学部を卒業後、2014年に中途でオープンハウスに入社。
営業推進部門の立ち上げ、戸建事業の経営計画策定、仕入契約条件の標準化、DXを推進。
買取再販部門の立ち上げ、個人から直接用地仕入を行うためのスキーム確立。
契約管理部門の立ち上げ、事業標準化と生産効率の向上。
事業管理部門の立ち上げ、品質・安全性・顧客満足向上と取り組んできた業務は多岐にわたる。
現在は、他社に先行し実家じまい・家じまいのセミナー講師を務める傍ら、戸建賃貸ファンド・アパート事業の責任者をしている。
趣味は考古学、子どもと一緒にパズルを作ること。

福島県出身。慶応義塾大学理工学部を卒業後、2014年に中途でオープンハウスに入社。
営業推進部門の立ち上げ、戸建事業の経営計画策定、仕入契約条件の標準化、DXを推進。
買取再販部門の立ち上げ、個人から直接用地仕入を行うためのスキーム確立。
契約管理部門の立ち上げ、事業標準化と生産効率の向上。
事業管理部門の立ち上げ、品質・安全性・顧客満足向上と取り組んできた業務は多岐にわたる。
現在は、他社に先行し実家じまい・家じまいのセミナー講師を務める傍ら、戸建賃貸ファンド・アパート事業の責任者をしている。
趣味は考古学、子どもと一緒にパズルを作ること。

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